1999 Fiscal Year Annual Research Report
感覚入力の変化が知覚神経終末の形態に及ぼす影響-洞毛の神経分布に着目して-
Project/Area Number |
11770487
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Research Institution | Meiji College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
榎原 智美 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 講師 (20203648)
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Keywords | 皮膚 / 知覚神経終末 / 洞毛 / PGP9.5 / 神経栄養因子 / 感覚入力 / 形態変化 / メルケル終末 |
Research Abstract |
動物鼻部洞毛の毛根部には多種かつ多様な形態を示す神経終末が豊かに一堂に会している。本研究では、成熟動物の非常に整然と意図的な配列をみせる神経分布様式が出生直後に完成しているわけではないことに着目し、出生時以降の洞毛への感覚入力が神経分布様式完成および形態維持に及ぼす影響を追究している。初年度(平成11年度)は、対照群として正常ラットで出生直後から洞毛の神経分が完成する過程を、免疫組織化学を用いて経時的に検索した。 ラットの洞毛は生直後は静脈洞も明確でない未熟な毛根部を示し、成熟動物と同等の規模と形態を示すまでに少なくとも4週間は必要であった。一方、PGP9.5陽性結果から、分布様式は不完全ながら洞毛は生直後すでに密な神経支配を有し、生後約2週間で成熟動物にほぼ匹敵する神経終末の要素が観察された。洞毛を支配する主たる2系統の神経束、浅および深洞毛神経は、生直後はそれぞれ毛包口部と輪状静脈洞レベルのメルケル終末領域に密に集中し、互いに交錯しない。4日目以降に内円錐体の高さに両神経線維が進入してはじめて明瞭な輪走線維分布が形成された。深洞毛神経は、生後徐々に一定間隔で神経束が毛包周囲に配列するようになり、成熟動物で認められる少なくとも3種(メルケル終末・槍型終末・樹状終末)の知覚神経終末は出生直後は分枝が少ないなど幼弱な形態をしているが、徐々に特徴的かつ明瞭な形態を示し、分布領域も明確に区分されるようになることがわかった。各種ペプタイド陽性線維は生後徐々に分布を増した。現在、神経栄養因子について検索するとともに、出生直後または成熟ラットの洞毛を抜いたり、引っ張ったり等の異常な刺激を与え続けた洞毛について、神経分布様式がいかに変化しうるかを同様に検索中である。
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