1999 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達系からみた癌細胞放射線抵抗性獲得機序の解明と放射線治療法選択への応用
Project/Area Number |
11770494
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宇野 隆 千葉大学, 医学部, 講師 (30302540)
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Keywords | 放射線感受性 / 培養細胞 / 細胞周期 / 細胞増殖速度 |
Research Abstract |
本研究は放射線抵抗性を獲得した細胞を、細胞周期への影響とシグナル伝達系の両面から解析し、これらの因子が放射線抵抗性へ及ぼす影響を解明することを第一の目的とした。また、放射線抵抗性を獲得しない放射線照射法を開発し、癌の放射線治療効果を改善することを第二の目的に研究を行った。本年度は細胞周期の変化により、治療抵抗性を獲得するか否か検討した。まず、7種のヒト悪性腫瘍由来の培養細胞に単層培養でX線照射を行い、コロニー法で生存率を算定した。放射線感受性の高いSKG細胞と放射線抵抗性のRMG細胞に5Gy照射し、生存した細胞を継代培養した。これを繰り返して、同一細胞から放射線感受性の高い細胞と、放射線抵抗性の細胞の確立を試みた。しかし、この方法で得られた放射線感受性が違う細胞も培養を繰り返す中に、再び感受性が同等に変化して、明らかに感受性の異なる細胞株の樹立は困難であった。また、放射線感受性の異なる異種の培養細胞を用いて、培養中の細胞増殖速度とcell cycleの変化を、フローサイトメトリーで経時的に解析した。しかし、細胞の放射線感受性とG1/G2+M期の比率は、放射線感受性との間に明らかな関連は見いだすことが出来なかった。同一培養細胞から放射線感受性の異なる細胞系の確立を目指したが、本年度は目的の達成する事が出来ず、来年度は異なる発想が必要となった。また、異種の放射線感受性の異なる細胞間の比較では、細胞周期が放射線感受性に及ぼす影響は明確にならなかった。
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