2000 Fiscal Year Annual Research Report
^1H MRSを用いたラットwernicke脳症モデルにおける脳代謝の評価
Project/Area Number |
11770499
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
越元 佳郎 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (90311688)
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Keywords | MRS / チアミン / ウェルニッケ脳症 |
Research Abstract |
1.臨床用1.5T-MR装置を用い、正常ラット脳^1H MRSを試みた。安定した^1H MRSを得るためには、磁場を均一に保ち、対象の動きをなくすことが重要であった。今回の実験では非常に小さいラット脳を対象にしたため、これらの条件を満たす環境を整えることが最初は困難であったが、時間をかけ磁場を手動補正することにより磁場の均一性を高め、ラットの体温を維持し深麻酔の状態を長く維持することで、最終的には安定した正常ラット脳の^1H MRSを実行することができるようになった。 2.ラットWernicke脳症モデルを、チアミン欠乏飼料を与え、加えてピリチアミン(チアミン拮抗剤)を腹腔内投与することにより作成した。ほぼ2週間でWernicke脳症モデルは完成し、この時点での^1H MRSでは、有意なlactateのピークを検出した。またNAAは減少しており、神経細胞脱落が示唆された。Wernicke脳症モデルの完成後はラットの蘇生はできず、不可逆的変化が起こってしまったものと推察された。 3.このモデルについて症状のほとんど現われていない7日目、軽い歩行失調の現われる10日目においても^1H MRSを施行した。ともにNAAの減少はみられず、可逆的変化は起こっていないと考えられた。検査後も引き続きWernicke脳症モデルを完成できた。ただし、lactateに関しては検出されているように思うが、noiseとの分離が困難であり評価はできなかった。 4.今後の課題としてlactateの正確な検出が挙げられる。実験用3T-MR装置の使用が可能となり、今後は3T装置で実験を継続する予定である。
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