2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳における酸化的ストレス状態のインビボ評価のための新規放射性標識抗酸化剤の開発
Project/Area Number |
11770512
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 文彦 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (40253471)
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Keywords | 脳 / 酸化ストレス / インビボ / ヨウ素標識 / アスコルビン酸 / ラット |
Research Abstract |
前年度に引き続き,新規放射性標識AsA誘導体の開発研究を進めた。今年度は脳移行性の向上を期待してデザインした高脂溶性AsA誘導体のうち2-IBAの標識合成と基礎評価および6-IPAの合成と基礎評価を行った。前年度標識合成を達成し基礎評価を行った化合物はその後の詳細な構造解析の結果,2-IBAではなく3-IBAであることが判明した。 2-IBAについて,前年度に生じていたヨウ素125標識合成の低放射化学的収率の問題点は,HPLC条件検討を重ねることで解決し45%で得ることが可能となった。 インビボ評価として,2-IBAについて実験腫瘍マウスを用いた生体内分布を調べた結果,脳移行と腫瘍集積は小さかった。甲状腺の集積は脱ヨウ素によるヨウ素の集積ではなく2-IBAかその代謝産物である可能性が考えられるなどの知見を得た。これらの事からアスコルビン酸の2,3位の置換基導入や脂溶性基については,さらなる検討を要すると考えられる。 また当初計画していた6-IBAの合成は達成されていない。しかしながら代わりに6位にヨードフェニル基を導入した新たなアスコルビン酸誘導体6-IPAの合成に成功した。これは脂溶性の増大とヨウ素導入という当初の目的を達しているため6-IBAの代用になると考えている。 6-IPAのインビトロ還元活性は72%であり,ある程度活性が保持されていた。またlogP値は-0.42とアスコルビン酸に比べて幾分高い値を示した。6-IPA標識合成については現在検討中であるが基礎評価を急ぎそれらの結果を解析してさらなる最適なドラッグデザインを行っていく予定である。
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[Publications] Ishibashi N.,Kuwamura T.,Sano H.,Yamamoto F.,Haradahira T.,Suzuki K.,Suhara T.,Sasaki S.and Maeda M.: "Synthesis and Evaluation of New ^<18>F-and ^<11>C-Labelled 6,11-Ethanobenzo [b] quinolizinium Derivatives for Imaging of the NMDA Receptor at the TCP-Binding Site."J.Labelled.Compd.Radiopharm. 43. 375-383 (2000)
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[Publications] 山本文彦: "左巻健男,稲山ますみ,西田立樹 編「気になる成分・表示100の知識」,p66-71,p130-131,p166-167"東京書籍. 235 (2000)