1999 Fiscal Year Annual Research Report
非電離放射線障害におけるキサンチンオキシダーゼの役割解明
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11770529
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
井上 浩義 久留米大学, 医学部, 講師 (10213175)
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Keywords | 紫外線B波 / キサンチンオキシダーゼ / 培養ヒト線維芽細胞 / ヒトリンパ球 / トリパンブルー / アロプリノール / オキシプリノール |
Research Abstract |
本研究は,非電離放射線,特に循環問題によりその影響が懸念されている紫外線B波(波長280-320nm)により惹起される皮膚障害発生におけるキサンチンノキシダーゼ系の役割を検討することを目的とする.現在までに,ウシミルクあるいはラット肝臓から抽出精製したキサンチンオキシダーゼを添加した培養ヒト皮膚線維芽細胞あるいはヒトリンパ球in vitro分散系に,紫外線B波を急性照射した場合の細胞障害性をトリパンブルーによる生存細胞数計数を指標に検討した. その結果,培養ヒト皮膚線維芽細胞では約2.1Jcm^<-2>の紫外線照射によって,また,ヒトリンパ球では約5.1Jcm^<-2>の紫外線照射によって50%の細胞が死に至った.これにウシミルクキサンチンオキシダーゼを加えた系においては,この50%の致死効果を有する紫外線量で,皮膚線維芽細胞では43%そしてリンパ球では7.7%の死亡率がそれぞれ増加した.しかし,この増加率は統計的に有意ではなかった.一方,ラット肝臓精製キサンチンオキシダーゼはその添加により,細胞分散液の濁度が上昇し,照射紫外線強度を減弱させるためその評価が出来なかった.また,上記紫外線を照射することによるキサンチンオキシダーゼの活性変化を尿酸産生を指標として測定したが,キサンチンオキシダーゼは紫外線B波の照射によってその活性を弱めることが明らかとなった. 今後は,ヘアレスラットを使用した紫外線照射による皮膚障害性試験を行う予定であるが,その研究のためにキサンチンオキシダーゼの特異的阻害薬であるアロプリノールおよびその活性代謝物であるオキシプリノールを投与したラットを用いる.それぞれの薬剤のラット体内動態を調べたが,アロプリノールでは経口投与後1時間,オキシプリノールでは同5時間後に血中ピークを迎えるという結果を得た.
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