1999 Fiscal Year Annual Research Report
パニック障害患者の脳機能と自律神経機能に関する研究-MRS(磁気共鳴スペクトロスコピー)と心拍変動パワースペクトルによる測定-
Project/Area Number |
11770537
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
塩入 俊樹 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (40235487)
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Keywords | パニック障害 / 自律神経機能 / 心拍変動パワースペクトル |
Research Abstract |
我々が用いている24時間ホルター心電図による心拍変動パワースペクトル解析は、現在までどこの施設でも行なわれていない独創的な手技であり、従って、初年度である平成11年度では、まず心拍変動パワースペクトルによる自律神経機能に関するデータの信頼性及び妥当性の検討を十分行う必要がある。特に、睡眠時は1日のうちで最もストレスのかからない時間帯であり、その時間帯の交感神経及び副交感神経系の活動を指標に自律神経機能を正確に評価することがパニック障害のような不安障害患者には重要である。そこで健常者において、上記手技を施行し、正常被検者におけるばらつきや睡眠中の自律神経系の変動を詳細に調べた。その結果、睡眠中であっても、自律神経系機能は適宜変動していること、そして24時間ホルター心電図と同時に体動を測定することによって、その自律神経系機能がより安定している時間帯を設定可能であることがわかった。また準備段階としてうつ病患者数名でも同様に自律神経系機能を測定したが、うつ病患者では睡眠中でもその変動が激しく、安定している期間が短いことがわかった。また、うつ病患者では日中は交感神経系がより過活動となっていることが多く、逆に睡眠中は副交感神経系が過活動である傾向が認められた。しかしながら、症例数がまだ少ないことや抗うつ薬などの薬物投与の影響もあり、この結果の解釈は十分注意を要するものと思われた。これらの結果を基に、平成12年度においては、パニック障害患者に対して同様の測定を行い、加えてMRSを用いATP等の高リン酸エネルギー代謝を中心とした脳機能測定を行う予定である。
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