1999 Fiscal Year Annual Research Report
リエゾン精神医学的視点からみた慢性・癌性疼痛における分子薬理学的及び臨床的研究
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11770553
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
橋本 恵理 札幌医科大学, 医学部, 助手 (30301401)
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Keywords | 慢性疼痛 / モルヒネ / ブプレノルフィン / G蛋白質 / アデニル酸シクラーゼ / 情報伝達 |
Research Abstract |
疼痛緩和の目的で長期ブプレノルフィン投与中の慢性疼痛患者の血小板におけるG蛋白質免疫反応を健康成人群と比較検討した。Gs,Gi-_<1,2>ともに両群間で有意な差異は認められなかった。この慢性疼痛患者で投与されているブプレノルフィン量は、オピエト依存者のメサドン治療時の投与量と比べ、ブプレノルフィン換算で10分の1量であり、また、オピエト依存において報告されているG蛋白質の量歴変化がみられず、慢性疼痛患者での通常治療用量の投与にては身体依存域に至っていないことが推察された。 今後、G蛋白質によって促進、抑制の活性調節をうけるアデニル酸シクラーゼ(AC)やcAMP responce element binding protein(CREB)の量的変化に関してもisoform別に検討する予定である。また、G蛋白質,ACのmRNA発現量の検討のため、ヒト血球成分を用いてGs,typeI-,typeVIII-ACのmRNA検出が可能であることを確認した。疾患対照群としてアルコール依存症者の血球成分での検討を行い、アルコール依存症者のうち家族歴を有する群においてGs-,typeI-,typeVIII-AC共に、mRNA発現量の有意な減少を認めた。今後は更に対象を増やし、モルヒネ系鎮痛薬投与患者やモルヒネ系薬物依存者との比較により、依存形成に関する分子機構の検討並びにモルヒネ系鎮痛薬の適切な臨床的使用法に関する指標を検索する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 橋本恵理: "アルコール依存症におけるアデニル酸シクラーゼ系異常の分子生物学的研究"札幌医科大学学術振興会医学研究成果報告集. 61-65 (1999)
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[Publications] Hitoshi Sohma: "Quantitative reduction of type I adenylyl cyclase in human alcoholics"Biochimica et Biophysica Acta. 1454. 11-18 (1999)