2000 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠・覚醒リズム障害におけるヒト時計遺伝子Clockの解析
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11770558
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
岩瀬 利郎 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (80306307)
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Keywords | 睡眠・覚醒リズム障害 / Clock遺伝子 / PCR / SSCP / 遺伝子変異 |
Research Abstract |
[目的]Clock遺伝子は哺乳動物から初めて単離された生体時計遺伝子であり、CLOCK蛋白がBMAL1蛋白と2量体を形成し、period遺伝子などのE-box配列を介してその転写を促進することが、生体時計機構のフィードバックループ形成に必要不可欠であることが判明している。また、その変異によりマウス・ショウジョウバエの概日リズムが変化・消失する事が示されており、ヒトのClock遺伝子の場合も変異があれば、概日リズム障害の一因となっている可能性がある。そこで我々は、睡眠相後退症候群,非24時間睡眠覚醒症候群などを対象にClock遺伝子の変異の有無をスクリーニングした。 [方法]77名の概日リズム障害患者(睡眠相後退症候群48名,非24時間睡眠覚醒症候群29名)及び99名の正常被験者より静脈血を採取し、ゲノムDNAを抽出し、変異解析に用いた.解析開始当時、ヒトClock遺伝子のゲノム構造は発表されていなかったので、イントロン部分をエクソン間でのlong-PCR法で増幅し、その産物をsequenceしてcDNA配列と比較することにより決定した。 ゲノム構造を元にプライマーを作成し、PCR-SSCP法を用いて、Clock遺伝子の全翻訳領域を含む20個のエクソンを対象に変異を検索した。変異が認められる場合,PCR産物のdirect sequenceにより変異の位置を決定した。この研究は参加各施設の倫理委員会から承認されており、各被験者には研究内容をよく説明し、文書による同意を得ている。 [結果及び考察]エクソンから2個、3'-非翻訳領域から1個の多型を検出した。エクソン領域の多型の一つはアミノ酸配列の置換を伴っていた。3'-非翻訳領域の多型はKatzenbergらにより、朝型・夜型の睡眠覚醒パターンと相関があると報告された多型だった(Sleep,1998;569-576)。これらの多型について全被験者での分布を調べた(投稿準備中)。
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