1999 Fiscal Year Annual Research Report
Switching Mechanismからみた双極性感情障害の時間病態生理
Project/Area Number |
11770565
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
福山 裕夫 久留米大学, 医学部, 助手 (30281538)
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Keywords | Circadian Rhythm / Manic Depressive Illness / Bipolar Disorder / Clomipramine / Sleep / Lithium / SSRI / Sertlarin |
Research Abstract |
Switchingの機序の解明のために、これまでの臨床報告の文献から、Bipolar Disorderに投与されている代表的な薬物(炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、サートラリン、クロミプラミン)のラットサーカディアンリズムに対する影響を検討した。また、Switching現象は、病相の頻回化の現象と平行して、病歴の長さ、加齢によってその程度と頻度が増加していくという臨床報告が多数あることからクロミプラミン、炭酸リチウム、バルプロ酸の行動リズムに与える影響は、老年ラットにおいても検討し、加齢によるそれらの影響についても検討した。実験には、Wistar系雄性ラット(若年ラット9W、老齢ラット60W)を用いた。行動リズムの計測には摂食摂水が可能な側室を持つ回転かごを用い、5分間隔でコンピューターに取り込んだ。それぞれの薬物を飲料水にまぜて、投与した。リズムの解析には、x自乗ペリオドグラムを用いた。 その結果、ラットのサーカディアン周期は、炭酸リチウム、サートラリンの投与で延長し、バルプロ酸、クロミプラミンの投与で短縮した。セロトニン再取込み阻害剤であるサートラリンは、ラットの行動量を増加させた。また、バルプロ酸、リチウム、クロミプラミンの投与による、行動リズムの周期の変化は、老齢ラットが若年ラットに比較して大きかった。 従って、三環系抗うつ薬とSSRIは、時間生物学的に異なった作用を有しており、うつ病期から急激にそう状態に移行するSwitching現象は、セロトニン再取込み阻害作用以外の三環系抗うつ剤の有する作用で惹起される可能性が示唆された。また、加齢によって今回使用した薬物の影響が大きくなることから、Switching現象は加齢によるセロトニン神経の脆弱性と、シナプス前トランスポーター以外の三環系抗うつ剤の作用によることが示唆された。
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