2000 Fiscal Year Annual Research Report
アドレノメデュリンの糸球体上皮細胞保護作用:疾患形成と病態予測に関する研究
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11770602
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
叶澤 孝一 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (10233917)
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Keywords | アドレノメデュリン / アドレノメデュリンmRNA / 成熟型アドレノメデュリン / 糸球体上皮細胞 / IgA腎症 |
Research Abstract |
1.各種動物モデルにおける糸球体上皮細胞障害の程度とアドレノメデュリンmRNAの発現糸球体上皮細胞障害モデルとして、Wisterラットを用いて片腎摘出後の抗Thy1.1腎炎を、SDラットを用いて慢性puromycin aminonucleoside(PAN)腎症を作製した。それぞれ、経時的に腎組織を得、アドレノメデュリン(AM)mRNAの発現の程度と分布をin situ hybridizationを用いて検討した。両モデルにおいて、AM mRNAの発現は近位尿細管細胞>遠位尿細管>糸球体の順に強く、糸球体内での発現は弱いものの糸球体上皮細胞にのみ発現を認めた。経時的な変化では、両モデル共にそれぞれ抗Thy1.1抗体およびPAN投与前に比し、投与3日後以降で、糸球体上皮細胞におけるAM mRNAの発現を強く認めたことより、糸球体上皮細胞障害に伴いAMが発現してくるものと考えられた。 2.ヒトIgA腎症における尿中アドレノメデュリン排泄と尿中脱落糸球体上皮細胞の解析 ヒトのIgA腎症患者58例の尿中AM排泄量は、総AMで15.2±1.7pmol/g cr、成熟型AMで3.9±0.5pmol/g crと、正常コントロールに比べて有意に高かった。同時に採取した尿中脱落細胞で、抗ヒトポドカリキシン(PCX)抗体と抗AM抗体を蛍光抗体間接法を用いて二重染色すると、ヒトPCX陰性で尿細管上皮と考えられる細胞でAMを強く認めたが、共焦点レーザー顕微鏡による観察では、ヒトPCX陽性の糸球体上皮と考えられる細胞でもAMの発現を細胞質にほぼ均一に認めた。また、尿中成熟型AM濃度が尿中β2 microglobulin濃度と強い相関が認めた(p<0.3×10^7)ことより、尿中AM排泄量の測定は糸球体上皮細胞障害よりもむしろ尿細管障害や尿細管修復機転を反映する可能性が示唆された。
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