1999 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンDにより1α位水酸化酵素に対するネガティブフィードバックの分子機構の解明
Project/Area Number |
11770604
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉田 理 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00306713)
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Keywords | ビタミンD / 転写調節 |
Research Abstract |
25-水酸化ビタミンD1α-水酸化酵素(1α-水酸化酵素)は腎臓においてビタミンDを活性化する重要な酵素である。本酵素は活性型ビタミンDによりネガティブフィードバックを受けることが酵素活性のレベルで証明されているが、遺伝子レベルでの調節機構は未だ不明である。本研究では1α-水酸化酵素遺伝子の上流解析を通じてビタミンDの負の調節に関する分子機構を解明することを目的とした。 まず、ヒト1α-水酸化酵素遺伝子の上流領域の塩基配列を転写開始点の上流約4Kbにわたって決定した。この上流領域に関して様々な部分配列をルシフェラーゼベクターに組み込み近位尿細管細胞に遺伝子導入し、ルシフェラーゼアッセイを行った。その結果、ビタミンDに反応してルシフェラーゼ活性が抑制される領域を見いだした。さらにその部位に関して遺伝子欠失や変異を入れたベクターを用いて詳細に検討することでビタミンDに反応するnegative vitamin D response element(nVDRE)を入れた約20塩基の間に同定した。次に、nVDREと考えられた塩基配列に関してゲルシフトアッセイを行った。ゲルシフトアッセイによって、この塩基配列と近位尿細管抽出蛋白とで形成される複合体のシグナルを複数検出した。そのうちの一つのシグナルは、抗ビタミンD受容体抗体でスーパーシフトすることからビタミンD受容体を含む複合体が関与しているものと考えられた。また、塩基配列に遺伝子変異を挿入するとこのシグナルは検出されなくなることからnVDREとして同定した塩基配列はビタミンDによる負の転写調節に重要であると再確認した。 今後の展開としては、どのような転写因子がビタミンD受容体と協調してビタミンDの負の転写調節を行うのかについて、酵母のtwo-hybrid法を用いた系でビタミンD受容体と相互作用する蛋白を同定する予定である。
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