1999 Fiscal Year Annual Research Report
血管局所の11β-Hydroxysteroid Dehydrogenase活性-高血圧発症への関与-
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11770626
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
畠山 治彦 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (40303375)
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Keywords | 11β-hidroxysteroid dehydrogenase / コルチゾール / ミネラルコルチコイド受容体 / 本態性高血圧症 / アンジオテンシンII / 血管トーヌス / 血管平滑筋細胞 / アルドステロン |
Research Abstract |
11β-hydroxysteroid dehydrogenase type2(11β-HSD2)はコルチゾール(F)をその不活性体コルチゾンに変換する酵素である。ミネラルコルチコイド(MC)受容体はFおよびアルドステロンに対し同等の親和性を有するので、濃度的に100〜1000倍過剰なFのMC作用が顕在化しないよう腎臓などのMC標的臓器で11β-HSD2は防御的に機能している。以前より、本態性高血圧症患者の一部や高血圧自然発症ラットの抵抗血管でのこの活性の低下が知られていたが、高血圧発症への関与は必ずしも明らかではなかった。本研究は本態性高血圧発症に果たす11β-HSD2活性の病態生理的意義の解明を目的としている。平成11年度はまず、血管平滑筋細胞における11β-HSD2の遺伝子発現、酵素活性をそれぞれRT-PCR、薄層クロマトグラフ法を用いて確認した。FはアンジオテンシンII(AngII)などの血管収縮性物質の受容体数を増加させることにより血管トーヌスを亢進させることが知られている。そこで次に、このF作用に及ぼす11β-HSD2活性の影響を検討した。あらかじめアンチセンスDNAにて特異的に11β-HSD2を低下させておくと、生理的濃度のF負荷によりAngII結合能は約2.5倍に増加することが明らかになった。その増加の約70%はグルココルチコイド受容体、残り約30%はMC受容体を介して行われていた。以上の結果はFの血管トーヌス亢進作用が11β-HSD2活性の低下時に増強されることを示している。従来、11β-HSD2活性の障害により惹起される血圧上昇は腎でのMC過剰に由来すると考えられてきた。しかし、本研究により血管壁での11β-HSD2活性の低下それ自体が血管トーヌスを増加させることで、血圧上昇を引き起こすメカニズムに成り得ることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Haruhiko Hatakeyama: "11β-Hydroxysteroid Dehydrogenase in Cultured Human Vascular Cells"Hypertension. 33(5). 1179-1184 (1999)
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[Publications] Haruhiko Hatakeyama: "11β-Hydroxysteroid dehydrogenase in human vascular cells"Kidney International. 57(4)in press. (2000)