1999 Fiscal Year Annual Research Report
バセドウ病眼症に関与する脂肪組織TSH受容体発現機構の解明と新たな治療法の開発
Project/Area Number |
11770627
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
志村 浩己 山梨医科大学, 医学部, 助手 (40303416)
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Keywords | バセドウ病 / バセドウ病眼症 / 脂肪細胞 / 3T3-L1細胞 / TSH受容体 / 転写抑制因子 |
Research Abstract |
これまで,脂肪細胞にTSH受容体(TSHR)遺伝子が発現しており,これがバセドウ病眼症の主因であることを明らかにしてきたが,遺伝子発現機構の解析の結果,脂肪細胞に分化しうる3T3-L1細胞において,分化誘導によりTSHR遺伝子のプロモーター領域への結合がほぼ消失する転写抑制因子が脂肪細胞におけるTSHR遺伝子の発現に重要であることを明らかにした。本研究においては,バセドウ病の甲状腺外病変の原因の解明と新たな治療法の開発を目的とし,この転写抑制因子の詳細な解析と,遺伝子のクローニングを行った。その結果, 1)分化誘導前と分化後の3T3-L1細胞から核抽出液ならびに全細胞抽出液を調製し,ゲルシフト解析を行った結果,核内の転写抑制因子のDNA結合量は分化誘導により減少するのに対し,全細胞中の転写抑制因子の量は分化前後において明らかな差は認めなかった。この結果から,脂肪細胞への分化後の転写抑制因子のDNA結合の減少は核移行の段階で調節されていることが示唆された。 2)転写抑制因子遺伝子のクローニングを目的として,この転写因子の結合部位を含むオリゴヌクレオチドを直列に5個連結させ,酵母用のプロモーター(HIS3 プロモーター)とレポーター遺伝子(HIS3 遺伝子)の上流に挿入したプラスミドを作製し,酵母ゲノム内に組み込み,新規酵母レポーター株を作製した。その後,cDNAをGAL4の転写活性化ドメイン(GAL4 AD)との融合蛋白として発現させることのできるcDNAライブラリーを上述の酵母レポーター株に導入し,ヒスチジンを欠く最小培地中にて培養したところ,約20個のコロニーを得た。このコロニーからDNAを精製後,E.coliを用いプラスミドを増幅・精製した。現在これらのクローンの解析中であり,終了次第,論文投稿を行う予定である。
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