1999 Fiscal Year Annual Research Report
精子形成周期の制御機構と内分泌かく乱物質による影響の解析
Project/Area Number |
11770629
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蓬田 健太郎 大阪大学, 微生物研究所, 助手 (90283803)
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Keywords | 環境ホルモン / 転写因子 / GATA-1 / 精巣 / 精子形成 / セルトリ細胞 / ホルモンレセプター / 精子形成周期 |
Research Abstract |
哺乳類の精子形成過程において観察される精子形成周期は、内分泌系と密接に関連している。本研究ではこの点に着目し、内分泌撹乱物質の精子形成周期に対する影響をin vitroで解析できる系の確立を目指している。 まず、転写因子GATA-1の発現を指標として、セルトリ細胞の初代培養系における培養条件の検討をおこなった。GATA-1は、セルトリ細胞の分化時期と一致して発現開始し、精子形成周期が認められるようになり精子形成周期のステージVII〜IXに特異的に発現するようになる。ところが、初代培養系に移すとその発現は、認められなくなる。そこで、性ホルモンによる誘導を試みたが、発現誘導されないことが明らかとなった。一方、セルトリ細胞の分化形質は、セルトリ細胞相互の接着が重要であることを示唆する結果が報告されていることから、セルトリ細胞の高密度培養おこなった。この結果、セルトリ細胞を一定密度以上で培養するためには、細胞外マトリックスが重要であることと、ある密度以上になるとGATA-1が発現することが明らかとなった。このことは、セルトリ細胞が増殖して、相互に接着することにより分化して、GATA-1が発現するようになることを意味している。 次に、GATA-1の精子形成周期特異的な発現抑制について in vivo で検討した。まず、GATA-1の発現抑制が後期精子細胞の出現と一致することを変異マウスによる解析から確認した。ついで、性ホルモンの分泌を抑制することにより後期細胞を除去し、すべてのセルトリ細胞でGATA-1が発現することを確認した。これらの結果から、GATA-1の発現は性ホルモンによらず、その発現抑制は後期精子細胞との相互作用によることが示された。現在、in vitroにおいての追試をおこなっている。 一方、精子形成の制御機構を解析するための新たな解析方法として、精細胞移植法の応用と in vivo 遺伝子導入法の確立を目指しており、生殖幹細胞の性質の一端を明らかにした。これらの成果を元に精細胞の培養系の確立も試みている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hiroshi Ohta: "Regulation of proliferation and differentiation in spermatogonial stem cells: the role of c-kit and its ligand SCF"Development. (in press).
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[Publications] Hiroshi Ohta: "Real-time Observation of Trandplanted "Green Germ Cells": Proliferation and Differentiation of Stem Cells"Develop, Growth Differ,. (in press).
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[Publications] Yasuhiro Tasaka: "Identification and Characterization of Testis Specific Ornithine Decarboxylase Antizyme (OAZ-t) Gene: Expression in Haploid Germ Cells and polymine-Induced Frameshifting"Genes Cells. (in press).
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[Publications] Tohrau Kimura: "Molecular Cloning and Genomic Organization of Mouse Homologue of Dorsophila germ cell-less and Its Expression in Germ Lineage Cells"Biochem, Biophys. Res. Com.. 262. 223-230 (1999)
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[Publications] Hiromitsu Tanaka: "Identification and Characterization of a haploid germ cell-specific uuclear protein kinase (Haspin) in spermatid nuclei and its effects on somatic cells"J Biol, Chem,. 274. 17049-17057 (1999)
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[Publications] Yasuhide Yoshimura: "Genomic analysis of male germ cell-specific actin capping protein alpha"Gene.