2000 Fiscal Year Annual Research Report
2型糖尿病における遊離脂肪酸による膵β細胞アポトーシス誘導の研究
Project/Area Number |
11770655
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
高根 直子 久留米大学, 医学部, 助手 (70261071)
|
Keywords | 糖尿病 / 膵島細胞 / オレイン酸 / アポトーシス / Fas / Bcl-x |
Research Abstract |
オレイン酸がFasを介するβTC1細胞のアポトーシスを増強する機序を検討するため,Bcl-2,Bax,およびBcl-xの発現量への影響をWestern blottingで検討した。0.5〜1mMのオレイン酸濃度で,βTC1細胞のBcl-2およびBaxの蛋白量には影響がみられなかった。しかし,Bcl-xの蛋白量は1mMの濃度で軽度の減少を示した。Bcl-xはアポトーシス抑制作用を有するので,この発現量減少がアポトーシス増強に部分的に関与していると考えられる。 次に,NFκBおよびc-jun/c-fosのcis acting elementを組み込んだreporter vectorを用いて,オレイン酸のシグナルについて検討を行なった。これらのvectorをリポフェクチン法によりβTC1細胞に導入し,48時間後にオレイン酸を添加し経時的に活性を測定した。しかし,0.1〜0.5mMの濃度のオレイン酸では有意の活性上昇は認められなかった。 ミトコンドリアsuccinate dehydrogenaseの不可逆的阻害剤である3-nitropropionic acidを用いてミトコンドリア機能を阻害しATP産生を抑制した際のアポトーシスへの影響を検討した。3-nitropropionic acidはβ細胞のATP含量を低下させたが,抗Fas抗体によるhFas/βTC1細胞のアポトーシスに影響を与えなかった。 しかし,グルコース不含培地を用いて3-nitropropionic acidを添加するとFasを介するアポトーシスが有意に増強した。オレイン酸と3-nitropropionic acidを併用すると,ATPはさらに低下しアポトーシスが増強された。細胞内ATP含量の変化が膵島細胞のアポトーシスに関与している可能性が考えられた。
|