1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト尿管を用いた小口径代用血管作製への基礎的研究および臨床応用について
Project/Area Number |
11770664
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
植松 正久 神戸大学, 医学部, 助手 (90311779)
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Keywords | 尿管 / polyepoxy compound / 伏在静脈 / 小口径代用血管 / 日本白色家兎 |
Research Abstract |
操作性や長期開存性に優れた代用血管の開発に関する研究は,現在注目される1つの分野である.しかし,新鮮自家静脈あるいは自家動脈に優るような小口径の人工血管は開発されていないのが現状である.これまでわれわれは,保存ヒト尿管あるいは保存ヒト伏在静脈を用いて小口径の代用血管を作製し,実際に,動物への移植を試み,良好な結果を得てきた.すなわち,Polyepoxy compound試薬(5%,20℃,48Hr)にて処理し,Ethanol溶液(40%)内に保存した死体のヒト尿管あるいは術中採取のヒト伏在静脈を日本白色家兎の右または左頸動脈に移植し,1ヶ月後に摘出し,良好な開存と良好な新生内膜の形成を確認した.しかし,これらのgraftの長期開存性については不明であった.今回,長期開存性について,検討した. 【対象と方法】作製したgraft(Polyepoxy compound処理ヒト尿管あるいはヒト伏在静脈,径3mm,長さ2cm)を日本白色家兎(n=4)の右または左頸動脈に移植した.吻合方法は,interposition法で,8-0 monofilament非吸収糸による2点支持の連続縫合にて行った.移植された代用血管を6ヶ月後に血管造影し,その後に摘出し,病理学的に検討した. 【結果】6ヶ月後の血管造影において,Polyepoxy compound処理ヒト尿管は狭窄のない良好な開存が認められた.病理学的にも,graft上に連続した新生内皮の形成が認められた.一方,Polyepoxy compound処理ヒト伏在静脈では,血管造影上高度の狭窄あるいは閉塞が認められた.病理学的にも,吻合部の内膜肥厚は高度でgraft内腔に血栓の形成が認められた. 【考察】ヒト尿管やヒト伏在静脈は,操作性や開存性に優れた代用血管と成り得,とくに,Polyepoxy compoundで処理したヒト尿管は,長期開存性にも優れた代用血管と成りうる可能性が証明された.
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Research Products
(1 results)