1999 Fiscal Year Annual Research Report
IκB遺伝子導入による自家静脈グラフト内膜肥厚の制御に関する基礎的研究
Project/Area Number |
11770670
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田中 克典 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50296604)
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Keywords | 組み換えアデノウイルス / NF-κB / IκB / アポトーシス / 血管平滑筋細胞 |
Research Abstract |
【目的】血行再建術後自家静脈グラフトの内膜肥厚は中膜平滑筋細胞の内膜への遊走と増殖がその成因であるとされ、この過程にはNF-κBの関与が指摘されている。そこで、NF-κBの機能抑制因子である変異体IκBα(IκBΔN)のcDNAを組み換えアデノウイルスを用いて培養血管平滑筋細胞に導入し、その感染効率とTNF-α刺激下での平滑筋細胞のアポトーシスに与える影響について検討した。【方法】組み換えアデノウイルス(Adex IκBΔN)を培養血管平滑筋細胞に感染させた群をIκBΔN遺伝子導入群、LacZ遺伝子発現組み換えアデノウイルス(AdexLacZ)感染群をLacZ遺伝子導入群、通常培養群をコントロール群とし、以下の実験を行った。(1)LacZ遺伝子導入群にてX-gal染色を行い、組み換えアデノウイルスによる血管平滑筋細胞へのLacZ遺伝子導入効率を検討した。(2)NF-κB活性の抑制効果を各群で検討した。(3)TNF刺激下でのアポトーシス誘導を各群で検討した。(4)TNF刺激下でのcaspase-3活性を各群で検討した。【結果】(1)MOI(multiplicity of infection)=10にて導入効率は約10%であったが、ウイルス感染時にPolyethylenimine(PEI)を加えることにより導入効率は飛躍的に向上した。(2)IκBΔNの過剰発現はTNF刺激によるNF-κBの活性化を有意に抑制した。(3)IκBΔN遺伝子導入群で著明なアポトーシスが認められた。(4)IκBΔN遺伝子導入群でcaspase-3活性の上昇を認めた。【結語】変異体IκBαの過剰発現によりTNF-α刺激下での平滑筋細胞のアポトーシスが誘導された。
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