2000 Fiscal Year Annual Research Report
ショックの診断および重症度指標としてのsublingual PCO_2
Project/Area Number |
11770672
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中川 儀英 東海大学, 医学部, 講師 (00246125)
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Keywords | 急性循環不全 / ショック / 重症度 / 舌下粘膜組織内CO_2分圧 / 組織二酸化炭素分圧 / 乳酸 |
Research Abstract |
1,健常人におけるSublingual PCO_2の測定 健常3名についてSublingual PCO_2は52mmHgであった。センサーレスポンスタイムを平衡に達した時の値の90%値でとると6分となった。 2、対象症例一覧 症例は計9症例で、男性7例、女性1例、平均年齢60.1才であった。心肺蘇生もしくは心肺蘇生後の急性循環不全7症例、出血性ショック1症例、敗血症性ショック1症例であった。 3、Sublingual PCO_2と他の循環動態指標との比較相関 Sublingual PCO_2は平均動脈血圧(r=0.304,n=41,p≦0.05)、動脈血乳酸濃度(r=0.791,n=13,p≦0.01)、心係数(r=0.815,n=17,p≦0.001)とも統計学的に優位な相関を示した。 4、救命救急センターにおける、ショック患者を対象としたSublingual PCO_2の測定 非侵襲的に連続してのモニタリングが可能であった。急性循環不全において平均動脈血圧低下、心係数低下、動脈血乳酸濃度上昇とともにSublingual PCO_2は上昇することが判明した。 以下に実際の症例の概要を提示する。 入浴中てんかん発作をおこし、溺水から心肺停止となり救命救急センターへ搬送された。心肺蘇生により心拍再開した。Sublingual PCO_2は心拍再開後に105mmHgと高値を示したが、カテコールアミン投与により心係数が2.1にまで上昇するのに伴い50台まで低下した。しかしその後再度循環不全に陥り、心係数が低下するとともに7時間後に死亡した。このときSublingual PCO_2は115mmHgまで上昇した。これに対して乳酸は来院時131mg/dLと高値であったが、循環動態改善時には107までしか低下しなかった。その後の循環動態悪化時には176まで上昇した。この症例では心係数と比較するかぎりにおいてはSublingual PCO_2の方が乳酸より良い相関を示したといえる。 5、結論 Sublingual PCO_2は非侵襲的かつ連続測定が可能な急性循環不全の指標である。
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