1999 Fiscal Year Annual Research Report
小腸移植におけるhigh endothelial venuleの役割に関する研究
Project/Area Number |
11770677
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤崎 滋 日本大学, 医学部, 講師 (60287638)
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Keywords | 小腸移植 / high endothelial venule / homing / 拒絶反応 |
Research Abstract |
[目的]小腸移植の液性及び細胞性拒絶反応におけるhigh endothelial venule(HEV)やリンパ球homingの関与について検討した。 [方法](1)液性拒絶モデル:donor全血(1ml,術前7日目)の輸注により前感作されたラットに全小腸移植(PVG→ACI,n=6)を行い、血流再開後30分後にgraftを採取し凍結保存した。蛍光抗体法(IgM,IgG)にて抗体沈着の局在を検討した。(2)細胞性拒絶モデル:免疫抑制剤非投与にて全小腸移植(BN→LEW)を施行し、3,4,5,7日目に犠牲死させ(各n=3)、graftを採取し凍結保存した。細胞接着分子であるCD44(homing receptor),LFA-1,ICAM-1,VLA-4,Fibronectin(FN),Laminin(LM)に対する抗体を用いて免疫組織化学にて染色を施行した。 [結果](1)絨毛の脱落、リンパ節・パイエル板、絨毛底部における小血管の著明なうっ血、内皮細胞の軽度の肥大を伴った小血管における好中球浸潤等の液性拒絶反応を示唆する病理組織所見がみられた。蛍光抗体法では、絨毛底部の血管に強度のIgM>IgGの沈着を認めたが、絨毛先端部の血管には、IgM,IgGの沈着は軽度であった。(2)CD44発現の変化は上皮において著明だった(陰窩から絨毛先端に向かい上昇)。LFA-1,ICAM-1,VLA-4の局在の変化には特徴的なものはなかった。絨毛底部の小血管の内皮におけるFNの発現が増強がみられた。 [結語]小腸移植の拒絶反応において、リンパ節・パイエル板等のリンパ装置の小血管とともに、絨毛底部の小血管が重要な役割を演じ、HEVやリンパ球homingの関与が考えられた。加えて、上皮細胞はhomingに関与するシグナル伝達(CD44の発現)に重要な役割を演じる可能性が示唆された。
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