1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770686
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
澁谷 和彦 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (70260429)
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Keywords | 急性膵炎 / IL-10 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本年度は、マウスセルレイン膵炎モデルにおいて、IL-10遺伝子導入による治療効果を生化学的、組織学的に検討した。6w齢Balb/c雄性マウスを用い、以下の4群に分けて検討を加えた。 A群:コントロールマウス(何もしていないもの) B群:セルレイン100μg/kgを1時間おきに6回腹腔内投与し、急性膵炎を作成したもの。 C群:コントロールベクター(Lac-Z)を10^7pfu腹腔内投与後、72時間後にB群と同様にセルレイン膵炎を作成したもの。 D群:IL-10遺伝子を組み込んだベクターを10^7pfu腹腔内投与後、72時間後にB群と同様にセルレイン膵炎を作成したもの。 セルレイン初回投与の7時間後に屠殺し採血、膵組織も摘出し、血清IL-10、血清p-amylase、膵乾湿重量比、組織学的検討を行い評価した。 【結果】Lac-Z遺伝子を投与したマウスの腹腔内にβ-galactosidase染色を行ったところ、腹腔内は染色陽性であり、遺伝子導入が確認された。また、血清IL-10はA、B、C群が測定感度以下であったのに対し、D群のみで6080±2181pg/mlと上昇していた。血清p-amylaseはA群1554±478IU/1、B群4824±3309IU/1、C群3583±2557IU/1、D群7602±4139IU/1とB、C、D群はA群より高値を示したものの、B、C、D群では有意差を認めなかった。膵乾湿重量比はC、D群のみで測定したが、C群4.8±1.4、D群6.8±1.1と有意差はないもののD群のほうが高い傾向が認められた。組織学的にはB、C、D群の膵炎の程度はいずれも軽く、明らかな差は認められなかった。 【まとめ】IL-10遺伝子導入によるセルレイン膵炎の治療効果は現段階では認められない。より重症の膵炎モデルにおけるIL-10遺伝子導入の治療効果を今後検討していく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 砂村眞琴: "膵臓の微小循環障害と虚血"日本外科学会雑誌. 100. 342-346 (1999)
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[Publications] 武田和憲: "急性膵炎治療における膵酵素阻害剤"総合臨床. 48. 1727-1731 (1999)
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[Publications] 澁谷和彦: "急性膵炎"外科. 61・12. 1544-1549 (1999)
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[Publications] 澁谷和彦: "急性膵炎"消化器外科. 22・7. 1103-1108 (1999)