1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770711
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
菊地 浩彰 昭和大学, 医学部, 助手 (20296966)
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Keywords | PTPE / 肝硬変 / 拡大肝切除 / TAA |
Research Abstract |
【研究目的】術前経皮経肝的門脈枝塞栓術(PTPE)から拡大肝切までの至適時期決定は術後成績の向上に重要と成り得るが、種々の障害肝で厳密な至適期間を識ることは困難である。今回、Thioacetamide(TAA)障害肝ラットによる門脈結紮モデルを作成し、肝類洞内皮細胞障害を示す血清ヒアルロン酸値(HA)と肝integrity維持に重要な肝組織還元型Glutathione(GSH)、GSSG/GSHの関係を中心に従来の肝機能評価との相関を検討し、血中ヒアルロン酸が肝切の至適時期決定の指標になりうるか評価した。【対象及び方法】 Wistar系雄性ラットに滅菌4%TAA200mg/kgを週3回、連続10週間腹腔内投与し肝硬変モデルを作製した。1t,median及びlt.lateral lobe領域の門脈枝を結紮したPVO-TAと肛門部剥離のみのSham-TAに分類した。結紮から14日目までのHAを測した。更に結紮葉と非結紮葉に分けて、各葉の肝重量/体重比(L/B)、GSH及びGSSG/GSHを測定した。【結果】非結紮葉のL/Bは7日目まで有意に増大し、結紮葉では7日目まで有意に減少し続けた。PVO-TAのHAは結紮後5日目までSham-TAより有意に上昇したが、7日目には改善した。非結紮葉では、1日目でGSSG/GSHの一過性の上昇が認められ、引き続き1,3日目でGSHの有意な上昇が認められた。結紮葉では、GSSG/GSHは3日目から有意な上昇を認め、GSHは7日目まで徐々に減少し、3,5,7日目で有意であった(pく0.0001)。HAと非結紮葉のGSH及びL/Bに相関を認めた(GSH:r=0.779,p=0.0001,L/B:r=0.528,p=0.045)。HAは非結紮葉のGSSG/GSH及び結紮葉のGSH,GSSG/GSHとは相関を認めなかった。【結語】ラット選択的門脈枝結紮モデルにおいて、結紮後の血清ヒアルロン酸値の推移は非結紮葉の還元型グルタチオン濃度と強い相関を認めた。血清ヒアルロン酸はPTPEから拡大肝切までの至適時期決定の指標となり得る可能性が示唆された。
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[Publications] 石橋一慶: "肝内微小循環かんらみた術前門脈枝塞栓術の有効性に関する検討"日本血管外科学会誌. 7;2. 369 (1998)
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[Publications] 門倉茂樹: "ラット肝硬変モデルにおける拡大肝切前の門脈結紮術に関する検討"日本消化器外科学会誌. 31,6. 1687 (1998)
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[Publications] 菊地浩彰: "Serum hyluvanic acid and hepactic reduced glutathione during the regenerative and atrophic process…"9th world congress of the international gastro-surgical club. 9. (1999)