2000 Fiscal Year Annual Research Report
胆管切開創縫合部における創傷治癒過程での胆道内圧に対する耐圧力の検討
Project/Area Number |
11770719
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
中里 雄一 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30266655)
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Keywords | 創傷治癒 / 胆管切開 / 胆道内圧 / Cチューブ |
Research Abstract |
胆管切開創の縫合閉鎖部において、胆汁が漏れる危険がない時期が判明すれば、胆道内圧減圧チューブの抜去から早期退院が期待できる。今回この点を明らかにするために、胆管切開創修復過程と胆道内圧との関係を実験的に検討した。実験はビーグル犬を使用し、全身麻酔下に総胆管前面に1cmの縦切開を行い、その後再縫合し胆嚢管からドレナージチューブを挿入した。検討項目はまず術中に胆道造影を行い縫合部の漏れや狭窄状況を検討した。また術後、1日目、3日目、5日目、1週間目に以下の3項目について検討した。1)胆管切開創縫合部の狭窄状況を胆嚢管からの胆道造影で検討。2)胆管切開創修復過程の組織学的検討。3)胆管切開創縫合部の耐圧力を検討。結果術中の胆道造影では漏れや縫合部胆管の狭窄は認められなかった。1)術後の経時的変化でも1週間までにおいては明らかな縫合部の狭窄は認められなかった・2)組織学的検討からは胆管の縫合部には術後1から3日目にはフィブリンが析出し、炎症反応によって毛細血管やリンパ管が拡張していた。また白血球やマクロファージが遊出していた。術後5日目になると毛細血管が新生し始め、フィブリンが吸収されコラーゲンが生成され始めていた。術後1週間になると新生した毛細血管が減少し始め、コラーゲン繊維が増加していた。3)縫合部の耐圧力の検討は縫合部乳頭側を縛り、胆嚢管から生理食塩水を注入して加圧し、縫合部破裂に要する圧力を検討したが、術後1から3日目は乳頭開通時の2倍の圧で破裂したが、術後5日目から1週間目では2.8倍まで上昇した。これらより乳頭機能が正常であれば、コラーゲン繊維が増加してくる術後4日目以前にも胆道のドレナージチューブを抜去できると考えられた。
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