1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770728
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
植木 孝浩 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (10309461)
|
Keywords | 肝細胞増殖因子(HGF) / 肝硬変 / 大量肝切除 / 遺伝子治療 / 術後肝不全 |
Research Abstract |
肝硬変合併肝切除後肝不全に対する治療をめざし、本年度は肝切除後肝不全モデルの確立と、このモデルを利用して肝不全進行の特徴をとらえ解析を進めるとともに、HGF遺伝子を実際に導入しその治療効果を確認した。 1.肝硬変モデルは、4週齢SDラットに1%ジメチールニトロサミン(DMN)を腹腔内投与し作成した。DMNの投与期間を3週・4週・5週としてエーテル麻酔下に70%肝切除術を行った。この結果3週目では全ラットが生存し肝切除の影響が見られなかったのに対し、5週目では大部分のラットが肝切除後まもなく死亡した。一方4週目では肝切除後・DMN投与開始後・追加投与後と段階的に死亡し17日目にすべてのラットが肝不全で死亡した。 2.1で確立した肝不全モデルの術後経過を追跡すると、肝切除後に死亡するラットが多く見られ、以後DMNの追加投与時期に一致して死亡した。この結果から術後早期の肝不全に対する予防的な投与と、術後の維持的なHGF蛋白の供給が必要と考えた。 3.そこでHGF遺伝子導入を肝切除術の3日前に、残肝となる肝右葉へ経門脈的にHVJ-liposome法で導入。さらに肝切除後は筋肉内注射で週に1回、合計2回の追加導入を行うこととした。この結果HGF導入群ではラットの術後早期の死亡を回避し、全経過を通して生存率を改善した。 現在までのところ、この生存率の改善にはHGFの肝細胞増殖促進作用が有力に関与していることが抗PCNA抗体による免疫染色で明らかとなった。また肝切除後の肝不全には、肝細胞のアポトーシスの関与が考えられることから、今後はこのメカニズムの解明とHGFの作用について研究を進める。
|
Research Products
(2 results)