1999 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック蛋白遺伝子導入によるグラフト肝の阻血耐性獲得に関する研究
Project/Area Number |
11770729
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
黒田 暢一 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (20301658)
|
Keywords | 臓器保存 / 肝 / heat shock protein / HSP70 / HVJリポソーム / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
肝移植において問題となる、臓器保存に伴うグラフト障害を軽減すべく、阻血耐容性の向上を目的としheat shock proteinの肝細胞への遺伝子導入を試みた。当教室ではこれまでにin vivoにおいて肝への高効率かつ反復的な遺伝子導入法を開発してきたが、今回の肝移植に照準を合わせたグラフト肝への遺伝子導入にはex vivoにおける遺伝子導入方法を確立する必要がある。心臓においては研究報告があるものの肝においての研究は少なく今回の研究の第一段階としてex vivoで最も効率の良い遺伝子導入の方法について、まずLacZを用いて検討した。対象はSDラット。まず導入手段として三種の脂質からなるアニオニックHVJリポソームを用いた。導入方法はグラフト肝潅流後にHVJリポソーム-HMG1を経門脈注入で、温(室温)潅流群と冷(2℃)潅流群の2群を設定した。潅流液はヘパリン加ラクトリンゲル液としHVJリポソーム注入後10分間静置し標本を採取、LacZの発現の差異について検討を行った。結果として有意な差でないが温潅流での導入の方が効率が良い傾向が見られた。この結果に基づきHSP70の導入を行なった。HTPCRによる検討は不十分であるが免疫染色による検討ではHSPの発現は認められるものの充分とはいえず、今後HTPCRによる検討を加え5種の脂質からなるAVE HVJリポソームへの変更も含め導入方法の再検討も考えている。また、12年度に予定している長時間保存後の検討においては冷潅流保存が必要であると考えられ、LacZの検討結果と相いれない部分もあるが効率よい導入方法と温保存の弊害のバランスを考えて導入方法を決定していく予定である。
|