2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770731
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
亀井 英樹 久留米大学, 医学部, 助手 (10268899)
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Keywords | 手術侵襲 / 癌転移 / 生体反応 / ラット転移モデル / 放射線同位元素 |
Research Abstract |
平成12年度はラットに開腹術のみ、あるいは開腹術に腹膜剥離術を加えて、リンパ節廓清に伴う腹腔内操作が生体反応にいかなる影響を及ぼすか検討した。後腹膜を3cm剥離する操作は3cmの腹壁切開術に比べて脳内サイトカインの産生に及ぼす影響が少ないことが判明した。さらに、腹壁切開の長さが、悪性細胞の肝臓への付着の程度に影響を及ぼすか否かを検討した。ラットAH109A肝癌細胞を^<125>I-uracilと共に3時間培養し、癌細胞を放射線同位元素にてラベルした。ラベルした癌細胞を小切開あるいは大切開にて開腹したラットの腸間膜静脈から注入した。術後5時間および24時間でラットを犠死せしめ、肝臓、肺、皮膚、甲状腺を採取し、ガンマーカウンターにて放射線量をカウントした。結果は大切開にて開腹した群において肝臓への放射線量が小切開群に比べて約3倍に増加しており、大切開によって大きな侵襲を与えると癌細胞の付着が促進されることが確認された。一方、転移が実際にはおこらない肺臓では両群間の放射線量には差異を認めないことから、肝臓での接着分子の発現の差異によって癌細胞の付着が異なることが推察された。また、甲状腺と皮膚の放射線量でも両群間に差異を認めなかった。甲状腺に差異を認めなかったことから、甲状腺の放射線量はすでにmaximumであると考えられた。単位長さ当たりの皮膚の放射線量には差異を認めなかったが、皮膚切開が長ければ長いほど癌細胞の付着が多いと考えられた。
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