Research Abstract |
HLA-A2陽性者の健常人ドナーから採取した末梢血より単核球分画を採取し,GM-CSF,IL-4を添加して培養し,DCを誘導した.肺癌培養細胞株PC-14を粉砕したものをtumor lysateとしてこれに加え,TNF-αを添加して培養した.以上の方法にて誘導した抗原負荷DC(pulsed DC)を抗原提示細胞とし,自己リンパ球を培養した.その後リンパ球を回収し,IL-2を添加した培地で培養した. DCのフローサイトによる解析では,誘導・刺激後では,CD14の発現率は低下し,代わってCD83,CD80,ICAM-1,CD-86,HLA class IIの発現率が上昇していた.HLA class Iは,培養の前後とも高率に発現していた.また,誘導した腫瘍特異的細胞障害性Tリンパ球(CIL)は高いIFN-γの産生能力を有していた. 以上より健常人末梢血単球由来のDCからヒト肺癌細胞に対するCILを誘導する系を確立した. これをふまえて,癌性胸膜炎にて再発している肺腺癌患者において実験した.同様の方法で,患者の末梢血から単球由来DCを誘導し,胸水から採取した肺腺癌細胞をtumor lysateとして誘導したpulsed DCを抗原提示細胞として自己リンパ球からCILを誘導したところ,高いIFN-γ産生能を有していた. また,DCの誘導に用いるサイトカインについては,GM-CSFを基本として,IL-1,IL-3,IL-4,IL-6,TNF-αを用いて検討したが,健常人,患者ともにGM-CSF,IL4,TNF-αの組合せが,最も効率よくDCが誘導された. 実際の臨床応用に向けては,tumor lysateとして用いる癌細胞が一定量必要となる.実際には,手術症例や一部の癌性胸膜炎以外の患者以外では必要量の採取が困難である.よって,現在は生検等の少量の癌細胞による効率的なCILの誘導方法について検討中である.
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