1999 Fiscal Year Annual Research Report
成人呼吸窮迫症候群(ARDS)後に生じる肺線維化と増殖因子
Project/Area Number |
11770744
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
澤藤 誠 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10226079)
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Keywords | ARDS / 肺障害 / 線維化 |
Research Abstract |
本年度はARDS亜急性期の検討のため、急性肺障害およびその後の肺組織修復を評価するための動物モデル作成を試みた。 1.方法 実験動物はラット(ウイスター)を用いた。肺障害はエンドトキシンを静注し、その後ラット体内に小型浸透圧ポンプを埋め込み、さらにエンドトキシンを10日間持続静注し、75%酸素に暴露した。これらのラット障害肺に対し、肺血管、上皮透過性の指標として肺胞洗浄液血漿アルブミン濃度比、肺線維化の指標として肺組織hydroxyproline量を測定した。 2.結果 障害肺では、コントロール肺(未処置肺)に比べ、肺組織洗浄液血漿アルブミン濃度比が高く(p<0.05)、肺組織hydroxyproline量が少なかった(p<0.05)。なお肺胞洗浄液に好中球の増多を認めた(p<0.05)。 3.考案 エンドトキシンの持続投与により、好中球の集積、血管および上皮透過性亢進をともなう肺障害を生じた。また組織hydroxyproline量が減少したことは肺組織のコラーゲン分解を示すものと考えられた。このモデルが急性肺障害後の肺組織損傷と修復の検討に有用である可能性が示された。今後肺組織損傷と、TNF、IL-6、FGF、TGFなどのサイトカインや増殖因子との関連を詳細に検討する予定である。
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