1999 Fiscal Year Annual Research Report
脳動脈瘤破裂時の急性期脳損傷の評価法の確立-実験的クモ膜下出血における脳圧とストレス蛋白発現の検討-
Project/Area Number |
11770754
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
隈部 俊宏 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (10250747)
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Keywords | クモ膜下出血 / 頭蓋内圧 / hsp70 / ストレス応答 |
Research Abstract |
ラットにおける動脈穿刺によるクモ膜下出血モデルにおいて脳圧と致死率の関係を検討した。クモ膜下出血発症後の脳圧上昇は致死率と優位な相関を示した。特にこの傾向は発症時の脳圧よりも、発症後30分の脳圧の方に強かった。この結果からくも膜下出血の脳圧上昇の遷延が致死率を上昇させる因子であることが示唆された。 同モデルを用いて、クモ膜下出血後の70kDa heat shock protein mRNA(hsp 70)の発現をin situ hybridizationで検討した。この結果、クモ膜下出血後1時間から両側の大脳皮質にhsp70の発現が認められた。この発現はクモ膜下出血後4時間において最も顕著になり、その後クモ膜下出血後24時間まで徐々に減少した。クモ膜下出血後24時間では大脳基底核にもhsp70の発現を認めた。このhsp70の発現のパターンは脳の広範囲に及ぶもので急激な脳圧の上昇によるクモ膜下出血に特徴的なものであると考えられた。 クモ膜下出血後の脳圧上昇とhsp70の発現量の関係についてnorthern blotを用いて検討した。この結果、クモ膜下出血発症時の脳圧がhsp70の発現量と有意な相関関係を示した。この結果からクモ膜下出血後のhsp70の発現は発症時の急激な脳圧上昇が誘因となっていることが示唆された。 以上の結果から、神経細胞のストレス応答はクモ膜下出血発症時の急激な脳圧の上昇によって誘導されるのに対し、クモ膜下出血後の生命予後は脳圧上昇が遷延することによる微小循環障害による脳虚血などの要素が大きく影響するのではないかと考えられた。
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Research Products
(1 results)