1999 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルスベクターを用いた脳腫瘍免疫遺伝子療法の開発
Project/Area Number |
11770762
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
梶原 浩司 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (90253161)
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Keywords | 脳腫瘍 / アデノウイルスベクター / 遺伝子治療 / インターロイキン4 |
Research Abstract |
IL-4を産生する非増殖性アデノウイルスベクター(AdCIL4)によるマウス脳腫瘍に対する抗腫瘍効果を検討することを目的とした。非増殖性アデノウイルスベクターとしてCMVプロモーター下にマウスIL-4遺伝子を組み込んだAdCIL4、RSVプロモーター下にβ-galactosidase産生遺伝子を組み込んだAdRL、外来遺伝子を含まないAd0を用いた。C3H/Heマウス由来悪性膠腫細胞RSV-MGに種々のMOIで各ベクターを感染させ細胞毒性を評価するとともに、AdRL感染細胞のβ-galactosidase発現はX-gal染色で、またAdCIL4のIL-4産生能は培養上清液を用いたELISAにて評価した。更にAdCIL4またはAd0を感染させたRSV-MG、および非感染RSV-MGをC3H/Heマウスの右被殻に定位的に移植し、AdCIL4感染腫瘍移植群とAd0感染腫瘍移植群、非感染腫瘍移植群での生存曲線および免疫反応を比較検討した。遺伝子発現は用量依存性に増加したが、MOI500以上では細胞の膨化、増殖能の低下が見られ、MOI200が感染に至適であった。IL-4発現量はMOI200で72時間感染させた培養上清にて568.6pg/ml(5×10^5cells/10ml)であった。腫瘍移植実験では非感染腫瘍移植群、Ad0感染腫瘍移植群がいずれも移植後20-40日で腫瘍死するのに対し、AdCIL4感染腫瘍移植群では延命効果を認めた。組織学的にはいずれの群においても腫瘍内部および周囲にマクロファージ浸潤がみられたが、AdCIL4感染腫瘍移植群ではそれに加えてTリンパ球優位の浸潤を認めた。以上よりIL-4を発現するアデノウイルスベクターを悪性脳腫瘍に感染させることにより免疫学的排除機構活性化による発育抑制効果の可能性があることを立証した。
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