1999 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質での言語認知および表出における脳の活動過程-MEGを用いた経時的変化の検討-
Project/Area Number |
11770770
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金子 庸生 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40276267)
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Keywords | 高次脳機能 / 言語研究 / 優位半球同定 / しりとり課題 / gamma-band activity / α-desynchronization |
Research Abstract |
MEGを用いた言語研究では一般的に、文字や単語(あるいは偽文字や偽単語)、絵などの視覚・聴覚刺激提示に対する反応の検討が行なわれる.しかしこの方法では提示刺激に対する一次反応に加え、認知・記憶との照合・語産生などの一連の高次反応が関与すると考えられ、これら高次反応個々の神経メカニズムが未だ解明されていない以上、それらの解析・評価は困難であると考えられる. これに対してしりとりや特定の音節から始まる単語の想起課題は1.本来刺激提示が不要であり、提示刺激に対する一次反応が生じないこと2.語産生機構のみの選択的賦活が期待されること、の二点を特徴とし、PETやfMRIを用いた検討で優位半球同定におけるしりとり課題の有用性も知られている。 以上の点を踏まえ、視覚・聴覚提示言語刺激による研究の前段階として、現在しりとり課題で語産生機構の脳内賦活部位及びその経時的過程の解明をMEGを用いて試みている.この言語に関わる神経機構は広範囲にわたり、かつ同時並行処理が行なわれていると考えられることから、MEGの解析法として従来行なわれているダイポール法では捕らえ難いと思われ、今回は周波数解析による方法を試みている. この周波数解析法は、脳波での研究で、従来から言語処理機構を含む高次情報処理過程においてγ-band activityが上昇するという報告が散見されているが、最近MEGでも同様の報告がなされている.我々はMEGを用いて、しりとり課題中に優位半球でこのγ-band activityの上昇がみられるか現在検討しているところであるが、現段階では明らかな上昇は認めていない.しかしながらα-band activityについては課題遂行中に優位半球側で逆に低下する傾向がみられており、これが優位半球側での言語活動に伴なうα-desynchronizationを示唆するのではないかと考えている.
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