2000 Fiscal Year Annual Research Report
砂ネズミの前脳虚血におけるドパミン代謝とミトコンドリア内酵素の変化について
Project/Area Number |
11770775
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
石井 尚登 順天堂大学, 医学部, 助手 (50265998)
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Keywords | ドパミン代謝 / モノアミンオキシダーゼ / ドパミン神経毒性 / 虚血後脳障害 |
Research Abstract |
実験は、砂ネズミの両側総頚動脈を15分間閉塞する一過性前脳虚血モデルを用いて行った。平成11年度にはmicrodialysis法で脳虚血中および虚血後のDopamine(DA)とその代謝産物であるDOPAC、HVA、そして3-MTの細胞外腔への放出状況を、MAO阻害剤であるpargylineの投与・非投与群で測定したが、平成12年度には、in vitro実験で採取した実験動物脳よりDAの代謝過程で産生されるフリーラジカルに関連したミトコンドリア内のmonoamine oxidase(MAO)活性、superoxide dismutase(SOD)活性、lipid peroxidationを測定した。 SOD活性は、大脳皮質で虚血前の85%、線状体で67%まで低下し、再開通後1時間後まで有意な低下を認めた。ミトコンドリア膜のlipid peroxidationの評価としてのTBARMの産生量は、15分間虚血だけでは変化は認めなかったが、虚血後より増加を認め6時間後まで高値で推移した。一方、SOD活性は虚血後6時間には大脳皮質・線状体ともに正常化していた。 以上、平成11年度と平成12年度の結果から、虚血により細胞外液中に放出されたDAは、MAO活性の低下と伴にDOPAC・HVAへと代謝されるdeaminationから、酸素を必要しないCOMTにより産生される3-MTへのo-methylationに代謝過程が変化していた。この変化は、MAO阻害剤のpargyline前投与で更に強調して認められた。また、このDA代謝の変化が、脳血流にも影響していることが示唆された。虚血後にミトコンドリア内のSOD活性の低下とTBARMの増加を認めたことより、DAの代謝過程で発生するフリーラジカルに対する防護機構の障害が示唆された。
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