1999 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管攣縮に対する脳槽留置型drug delivery systemの開発
Project/Area Number |
11770778
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
川島 明次 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70287374)
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Keywords | drug delivery system / subarachnoid hemorrhage / cerebral vasospasm / nicardipine / dog |
Research Abstract |
ニカルジピン徐放剤を作成し、徐放剤の徐放効果、及び髄腔内投与による脳血管攣縮の予防効果を犬くも膜下出血モデルを用いて検討した。 1.ニカルジピン徐放剤を直径1mm、長さ10mmのrod状のpelletを加圧溶融法により調製した。基剤には乳酸グリコール酸共重合体を用いた。ニカルジピン含有率は約10%である。総ニカルジピン量に対する放出量は、in vitroにおいてDay 1で8%、Day 2で17%、Day 4で62%,Day 10で96%であり、徐放効果は十分であった。 2.開頭くも膜下出血モデルを顕微鏡下に作成し、この際、脳槽内にhematoma clotのみ留置する群、hematoma clotの周囲にニカルジピン徐放剤を留置する群、基材のみのpelletを留置する群の3群を作成した。脳血管撮影をくも膜下出血モデル作成前、作成後7日、14日に行い、脳血管攣縮の評価を行った。くも膜下出血モデル作成後7日において、hematoma clotのみの群において、開頭側に著明な脳血管攣縮を認めた。一方、ニカルジピン徐放剤を留置した群では脳血管攣縮は軽度で、基材のみのpelletを留置する群では脳血管攣縮を認めなかった。 3.作成後14日でのclot中のニカルジピン濃度は平均5.1×10^<-5>M認めた。ニカルジピンの血管拡張作用はdose dependentであり、in vitroでは10^<-6>〜10^<-5>Mで最大効果を示すと言われているが、今回、ニカルジピン徐放剤はclot中のニカルジピン濃度は十分であった。 以上より、脳槽留置型ニカルジピン徐放剤は犬くも膜下出血モデルにおいて脳血管攣縮の予防効果に対して有効性を認めた。
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