1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770794
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
川口 善治 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (00262527)
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Keywords | アグリガン遺伝子 / 遺伝子多型 / 椎間板変性 / 椎間板ヘルニア / 腰椎椎間板ヘルニア / 腰椎 / PCR / VNTR |
Research Abstract |
アグリカン遺伝子の多型性が腰椎椎間板変性および椎間板ヘルニア発症のリスクになりうるかを検討した。64名の20歳台女性を対象とし、全ての対象者に検討の内容を説明し、同意を得た上でMRIを用い腰椎矢状断T2強調画像を撮像した。MRIにおける椎間板変性所見は、Schneidermanの分類に従ってL1-2、L2-3、L3-4、L4-5、L5-Sの5椎間それぞれのレベルで4段階に分類した。椎間板ヘルニアの評価は、MacNabの分類を用い行った。アグリカン遺伝子の多型は、対象者の末梢血からgenomic DNAを抽出し、コンドロイチン硫酸鎖結合部で反復配列(VNTR)の多型が存在する領域をpolymerasechain reaction(PCR)法で増幅した。PCR産物はアガロースゲルにて電気泳動を行い分析した。結果。今回の検討ではアグリガン遺伝子の多型は、VNTRの最も少ないアレル18から最も多い29までの8種類が確認された。1)椎間板変性との関連:椎間板変性数とアグリカン遺伝子の多型を検討したところ、少ないVNTRを持つものに多椎間の椎間板変性が認められた。また、上位椎間板変性を有する群と有さない群でVNTRのアレルを比較したところ、上位の腰椎椎間板変性は少ないVNTRを持つものに多く認められた。2)椎間板ヘルニアとの関連:ヘルニア椎間数およびヘルニアタイプとアグリカン遺伝子の多型との関連を検討したが、いずれにおいても有意差は認められなかった。以上、本研究からアグリカン遺伝子の多型のうち少ないVNTRをもつものは、20歳台という若年期にもかかわらず多椎間の椎間板変性を起こしやすいリスクがあることが示された。また少ないVNTRを持つものは上位椎間の椎間板変性を有する傾向が高かった。すなわち、少ないVNTRを持つ症例はアグリガンのcore proteinが短く、これが椎間板変性をきたしやすい素因になっている可能性があると考えられた。一方、椎間板ヘルニアとアグリカン遺伝子の多型性には明らかな関連が認められなかったことから、ヘルニアの発症にはこれ以外の要因の関与が示唆された。
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