1999 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症軟骨における立体的構造変化の新しい定量的評価法の確立とその応用
Project/Area Number |
11770801
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
森 隆治 島根医科大学, 医学部, 助手 (40263537)
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Keywords | 変形性関節症 / 立体構造 / 定量解析 / 客観的評価 / 動物モデル / 膝関節 / 肩関節 / 組織所見 |
Research Abstract |
ヒト変形性関節症軟骨と正常関節軟骨の違いを膝関節について観察した。これによって初期関節症において3つの病型・病期および1亜型があることを客観的に示すことができた。つまり、swelling/hypercellular/hypocellular typesおよびfibrous pannus typeである。これらの組織像は従来の観察からも示唆されたことはあったがいずれも観察者の主観的表現に留まっていた。我々の新しい定量法では、これらの存在を確認するとともに、客観的に定義・分類することができた。さらに、同じ病型に属する変性軟骨でも変性程度が異なることを示しその程度を正常軟骨からの逸脱度として数値化した。これによって立体構造学的な変性状態を初めて数値化することができた。また、異なった関節では正常値が異なっていることを見いだした。さらに、同一関節内でも部位によって異なっていた。これまでヒトの肩関節の正常軟骨と変形性関節症軟骨ならびに膝関節の正常軟骨について観察してきたが、今後もさらに観察標本数を増やし、ヒトの正常・病的パターンを厳密に規定するためのデータを蓄積したい。また、変形性関節症の家兎モデル作製に先だって家兎の正常膝関節の軟骨について検討した。これまでの結果からはヒトの関節軟骨とはかなり異なった正常値を持っていることが示唆された。即ち細胞成分を表す数値がかなり高値であった。以上の結果から、関節軟骨は関節の大きさ・機能・関節内部位・動物種類等によって全く異なる構造を持っていることが明らかになった。このことは病的変化においてもその様相は多種多様であることを示唆している。よって、動物モデルをヒトの病態に当てはめることは従来考えられていた以上に複雑な考察を要すると考えられ、本研究が過去の相反する研究結果を理論的に説明する上でも極めて重要な成果をもたらすと予想される。
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