2000 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症軟骨細胞の細胞周期制御とアポトーシスに関する研究
Project/Area Number |
11770803
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西田 圭一郎 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (80284058)
|
Keywords | 変形性関節症 / 軟骨細胞 / アポトーシス / 一酸化窒素(NO) / カスパーゼ |
Research Abstract |
イヌ実験的変形性関節症(OA)モデルおよびOA患者の人工膝関節置換術時に採取した変性軟骨組織の検討から、1)OA軟骨の変性・破壊過程に軟骨細胞のアポトーシスが関与すること、2)関節液及び軟骨組織中に多量の一酸化窒素(NO)あるいはその代謝産物が検出されること、3)OA軟骨の組織学的スコアとDNA断片化をきたしたTUNEL染色陽性軟骨細胞率が有為に正の相関を示すこと、4)特にOAの初期病変においてはニトロチロシン(NT)陽性細胞率とOAスコアが有為に相関する結果から、OA軟骨の破壊過程でNOにより誘導される軟骨細胞が深く関与することが示唆された。このNOによる細胞障害後に軟骨細胞のアポトーシスへ至るシグナル伝達経路を調べる目的でヒトOA軟骨に対するCaspase-3,-9に対する免疫染色で検討したところ、それぞれOAスコア、TUNEL陽性細胞率、NT陽性細胞率と強い正の相関関係を示した。このことから、NOによる軟骨細胞障害はミトコンドリアにおけるBcl-2、Bax等のアポトーシス関連蛋白の均衡を崩し、チトクロームCの遊離、Caspase-9の活性化を誘導し、アポトーシスの実行部隊であるCaspase-3の活性化を導くものと考えられた。一方、モノヨード酢酸を膝関節内に投与することにより作成したラットOAモデルに抗酸化剤PDTCを連日3週間筋肉内投与を行い、NOの抑制効果および軟骨破壊の防止効果を検討したが、コントロール群と比較して有為な改善は認められなかった。今後は軟骨細胞のアポトーシスを制御するためにCaspase阻害剤の検討もなされるべきであると考える。
|
-
[Publications] Keiichiro Nishida, et al: "Involvement of nitric oxide in chondrocyte cell death in chondro osteophyte formation"Osteoarthritis and Cartilage. (2001)
-
[Publications] 西田圭一郎 他: "軟骨破壊における一酸化窒素の役割"最新医学 別冊 リウマチ2000. 88-99 (2000)
-
[Publications] 西田圭一郎: "変形性関節症病態における一酸化窒素"THE BONE. 14・3. 67-69 (2000)
-
[Publications] 西田圭一郎 他: "整形外科医のための分子生物学.II.変性炎症 2.変形性関節症"関節外科. (2001)
-
[Publications] 西田圭一郎 他: "変形性関節症にみられる関節破壊機序"NEW MOOK 整形外科. (2001)
-
[Publications] 西田圭一郎: "慢性炎症とiNOS遺伝子"整形・災害外科. 44. 94-95 (2001)