1999 Fiscal Year Annual Research Report
持続性把持運動に伴う交感神経皮膚反応の変化および機序に関する研究
Project/Area Number |
11770808
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
三崎 一彦 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助手 (80285056)
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Keywords | 把持運動 / 自律神経 / 交感神経皮膚反応 / 健常成人 / 電気刺激 |
Research Abstract |
本研究では持続性把持運動に伴う皮膚交感神経活動の変化について、非侵襲的方法である交感神経皮膚反応sympathetic skin response(SSR)を用いて検討することを目的とした。健常成人16名(平均年齢21.1歳)を対象とし、右手で10%および30%MVCの握力で握力計を1分間把持し、この間とその前後の期間(安静時、運動準備期、回復期)に右手正中神経電気刺激により誘発される両手のSSRを記録した。得られたSSR波形の振幅及び潜時の経時的変化について統計処理を行い検討した。結果、(1)運動開始前20秒間(運動準備期)では安静時と比べSSR平均振幅に有意な変動が観察されなかった(2)30%MVC課題開始に伴って運動側のSSR振幅は非運動側に比べ有意に増大した(p<0.01)。(3)運動開始直後、終了直後において運動側のSSR潜時が対側の約50%まで有意に短縮した(p<0.01)(4)運動終了後(回復期)ではSSR振幅の減少および左右差が生じた。 SSRは種々の体性感覚刺激により誘発される体性-交感神経多シナプス反射である。その反射中枢は不明な点が多いが、運動によりSSR振幅が変化することから、随意収縮に伴って発射される求心性インパルスが視床-皮質系の活動に変化をもたらし運動発令によって生じる下降性インパルスの一部が視床下部、あるいは延髄を介し皮膚感神経活動を修飾すると推察した。これについて次年度は背景脳波活動を記録し、その周波数成分の変動から考察する。
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