2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770810
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
榎本 宏之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10256315)
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Keywords | 変形性関節症 / VEGF / 軟骨 / MMP / 関節破壊 |
Research Abstract |
VEGFは最も強力な血管新生因子の一つであり、血管内皮細胞に比較的特異的に作用すると考えられている。一方成人の関節軟骨は高度に分化した軟骨細胞から構成され、無血管である。VEGFには5種のアイソフォームがあるが、変形性関節症(OA)の関節軟骨が121,165,189アミノ酸から構成されるアイソフォームを産生することを証明した。またその産生量は正常軟骨に比し、OA軟骨で有意に高く、軟骨変性が進行するにつれ高くなることが判明した。興味深いことにVEGF受容体は正常軟骨では発現せず、OA軟骨で発現していた。基本的に無血管であるOA軟骨がVEGF受容体を発現したため、軟骨細胞から産生されたVEGFが軟骨細胞自身に作用する可能性が示唆された。VEGFの軟骨細胞に対する作用は報告がなく、まず軟骨細胞に対する増殖作用の有無を検討したが、有意な作用を認めなかった。次に軟骨細胞からのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)産生に対する効果を検討したところ、VEGFはMMP-1およびMMP-3の産生を有意に促進した。従って、VEGFは軟骨細胞に対しては血管新生因子としてではなく、OAでの関節破壊が進行するにつれ、VEGFの産生が高まり、MMP-1,MMP-3の産生を促進することによって軟骨の細胞外マトリックスの分解に関与して、OAにおける関節破壊の病態に関わることが判明した。尚、本研究の成果は平成12年日本整形外科学会基礎学術集会、平成13年日本軟骨代謝学会、2001年Annual Meeting of Orthopedic Research Society(アメリカ整形外科基礎研究学会、サンフランシスコ)にて発表した。Annual Meeting of Orthopedic Research SocietyではNew investigator Recognition Awardの候補に選出された。
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