1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770821
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Research Institution | Meiji College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
井上 基浩 明治鍼灸大学, 鍼灸学部, 助手 (50268174)
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Keywords | 末梢神経 / 再生 / 鍼通電刺激 / 筋電図 |
Research Abstract |
【目的】 坐骨神経に挫滅損傷(axonotmesis)を与え、その後に足底12部位の筋への再神経支配が行われるまでの期間について、1.無処置群(挫滅損傷後なんらの処置も加えない群、15匹)2.鍼通電刺激群(2日毎に鍼通電刺激を与えた群、15匹)の2群で比較検討し、鍼通電刺激が末梢(運動)神経の再生に及ぼす影響について検討した。 【方法】 ラット(7か月齢)を用い、両群共に大腿中央部で鉗子にて1分間の挫滅損傷を与えた。両群共に挫滅損傷後1・2・3・4週目に足底12部位及び腓腹筋内側頭にて誘発筋電図を測定した(刺激は大腿後側中央)。 【評価】 節電図の測定日に腓腹筋内側頭において刺激閾値を測定し、その閾値および閾値の1.5・2.0倍のいずれかの刺激強度で足底12部位のうち、誘発筋電図が確認された数を計測した。誘発筋電図は各部位で同一の刺激強度で複数回記録し、潜時が同一で多層性に出現したものを再神経支配が成されたものとした。 【結果】 挫滅損傷後1週目においては両群ともに筋電図は確認されなかった。損傷後2・3・4週目においては無処置群では順に平均2.1・5.9・7.9箇所、鍼通電刺激群では順に平均4.3・9.2・10.8箇所で筋電図が確認された。両群間には統計学的な有意差はなかった。 【考察】 挫滅損傷後1週目において両群共に筋電図が確認されなかったこと、2週目以降において確認された筋電図における潜時の遅延、また出現した筋電図が多層性を示したことから、これらの筋電図は再神経支配により出現したものと考えた。両群間には有意差はなかったが、鍼通電刺激群の方に明らかに再生に要する時間の短縮する傾向が確認された。鍼通電刺激群は無処置群と比較し損傷後1週から2週の再生率が大きく、また損傷後5週以降の経過では鍼通電刺激群ではほとんどの例で足底12部位すべてに筋電図が確認されたが、無処置群では確認されない例が多かった。これらのことから鍼通電刺激は神経の再生初期に影響を与え、また初期の影響はその予後に重要な因子である可能性が考えられた。
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