2000 Fiscal Year Annual Research Report
新規骨形成タンパク質(BMP-3b)のレセプター同定およびBMP-3bの機能解析
Project/Area Number |
11770828
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
日野 純 国立循環器病センター研究所, 生化学部, 室員 (40260351)
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Keywords | 骨形成タンパク質 / BMP / TGF-β / 培養血管平滑筋細胞 / 培養血管内皮細胞 / LPS |
Research Abstract |
BMP-3b遺伝子は、我々が骨組織からクローニングした新規遺伝子である。BMP-3bは骨形成過程において、重要な働きをしているタンパク質であり、本遺伝子の発現が骨芽細胞の分化状態と相関している事を、最近明らかにした。更に、BMP-3bは、骨組織だけでなく、血管組織にも多量に発現していることも報告しているが、血管系の細胞における作用については、全く知られていない。そこで、血管系細胞での、BMP-3bの機能解明を目的に、血管組織および培養血管内皮細胞、平滑筋細胞を用いて本遺伝子の発現および発現調節を検討した。ノーザンブロット法による検討の結果、BMP-3b遺伝子は、組織レベルでは、血管平滑筋細胞に発現している事、培養血管平滑筋細胞ではPCRでのみ検出が可能なレベルにまで、急激に発現量が減少していることがわかった。発現調節の検討では、培養血管平滑筋細胞において分化状態を変化させるTGF-β、LPSにより発現量が顕著に抑制された。このような発現調節の傾向は、骨組織でのそれと同様であることより、BMP-3bは、高度に分化した血管平滑筋細胞で特に、重要な働きをしていることが考察できる。一方、BMP-3bと構造の類似しているBMP-3(成熟タンパク質部分で、83%の相同性)の血管における発現調節を検討したところ、BMP-3bと同様に組織レベルでは血管組織に発現していた。しかし、培養血管内皮細胞および平滑筋細胞でも多量に発現しており、その発現量は組織レベルと同程度であり、BMP-3bとは発現調節が異なっていることを明らかにした。以上のことより、BMP-3bとBMP-3は、共に血管組織で存在し、その生理作用は両者の遺伝子発現により巧みに調節されていることが明らかになった。
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[Publications] Miyamoto Y., et al.: "Replication protein A1 reduces transcription of the endothelial nitric oxide synthase gene containing a -786T->C mutation associated with coronary spastic angina."Hum Mol Genet.. 9・18. 2629-2637 (2000)
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[Publications] Watanabe R., et.al.: "Initial enzyme for glycosylphosphatidylinositol biosynthesis requires PIG-P and is regulated by DPM2."EMBO J.. 19・16. 4402-4411 (2000)
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[Publications] Maeda Y., et al.: "Human dolichol-phosphate-mannose synthase consists of three subunits, DPM1, DPM2 and DPM3"EMBO J.. 19・11. 2475-2482 (2000)