1999 Fiscal Year Annual Research Report
虚血心筋に対する薬理学的プレコンディショニング効果の開発
Project/Area Number |
11770860
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
冨安 志郎 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (90244061)
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Keywords | 虚血再潅流障害 / レイトプレコンディショニング / HSP70 / mito K_<ATP>チャンネル / Heart / Liver |
Research Abstract |
心筋細胞株(H9C2)及びヒト肝細胞株(HepG2)を用いて虚血再潅流後のNO donorによるレイトプレコンディショニング効果とミトコンドリアカリウムATPチャンネル(mito K_<ATP>チャンネル)、heat shock protein 70 (HSP70)に関する検討をおこなった。 (方法) NO donor 0〜20時間前処置により、過酸化水素(H_2O_2)による細胞障害に与える影響についてMTT assayにより検討した。またH_2O_2投与15分前にmito K_<ATP>チャンネルブロッカーである5-hydroxydecanoate(5-HD)を投与し、mito K_<ATP>チャンネルの関与についても検討した。 (結果)(1)心筋細胞株を用いた実験においては、従来報告されているようなレイトプレコンディショニング効果は認められなかった。(2)NO donor20時間前処置することでH_2O_2による細胞障害を軽減し保護効果を認めた。(3)この保護効果はS-nitroso-N-acetylpenicillamine(SNAP)処理後12時間以降で認められた。(4)5-HD投与による影響は認められなかった。またK_<ATP>チャンネルオープナーであるニコランジル、ジアゾキサイドの前処置では保護効果は認められなかった。(5)NO donor投与によりHSP70の蛋白発現が12時間以降にみられ、20時間でピークに達していた。 (考察)心筋細胞において従来通りのレイトプレコンディショニング効果がみられなかった原因は不明であるが、平成12年度は閉鎖潅流回路を用いて、レイトプレコンディショニング効果を検討する予定である。肝細胞においてはNO donorによるレイトプレコンディショニング効果が認められたが、mito K_<ATP>チャンネルの関与は否定的でHSP70の関与が示唆された。 この研究結果は平成12年度4月、日本麻酔学会総会において重点研究として発表予定である。
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Research Products
(1 results)