1999 Fiscal Year Annual Research Report
全身性炎症反応症候群の血管内皮機能評価による病態解明と重症化予防法の確立
Project/Area Number |
11770862
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
本山 剛 熊本大学, 医学部・附属病院, 助手 (00305020)
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Keywords | 全身性炎症反応症候群 / 多臓器障害 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
感染、手術などの侵襲時の全身性炎症反応症候群(SIRS)から多臓器障害への病態形成における酸化ストレスの役割を明らかにするために、1998年4月より1999年12月までの当施設への入室症例185名(入院時SIRS(+)症例は120名)を対象とし、酸化ストレスのマーカーとして、血漿チオバルビツール酸反応生成物質(TBARS)を採血し、SIRSスコア及び多臓器障害の指標としてSOFAスコア、不全臓器数(SOFAスコアが3以上の臓器数)を記録し、血漿TBARS値とSOFAスコア、不全臓器数との関連性等について検討し、下記のような結果が得られた。(1)入院時SIRS(+)群は入院時SIRS(-)群に比し入院時の血漿TBARS値が高く、さらに入院時SIRS(+)群の中でもseptic-SIRS群はnonseptic-SIRS群に比し血漿TBARSが高値の傾向を示した。(2)入院時SIRS(+)群の中で、退院時SIRS(+)群は退院時SIRS(-)群に比し、入院中の血漿TBARS値の上昇の程度が大きかった。(3)入院時SIRS(+)群の中で、入院時MOF(+)群すなわち不全臓器数が2以上の群は入院時MOF(-)群に比し入院時の血漿TBARS値が大きく、入院時SOFAスコアあるいは不全臓器数と血漿TBARS値と間に有意義な相関を認めた。(4)入院時MOF(-)の中で、退院時MOF(+)群は退院時MOF(-)群に比し入院中の血漿TBARS値の上昇の程度が大きかった。以上のごとく、SIRS持続およびMOF合併群では酸化ストレスの亢進を認め、SIRSから多臓器障害への病態進展における酸化ストレスの役割が示唆された。
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