2000 Fiscal Year Annual Research Report
吸入麻酔薬の自律神経系に与える影響に関する研究-キセノンとの比較研究
Project/Area Number |
11770872
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
石黒 芳紀 帝京大学, 医学部, 講師 (40232285)
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Keywords | キセノン / 血圧降下 / アセチルコリン・エステラーゼ / 自律神経 / 動物実験 |
Research Abstract |
〔研究目的〕前年度の結果より、キセノンは比較的副交感神経活動を維持し、交感神経活動を抑制している可能性が強く示唆された。本年は、動物実験により自律神経系に与える影響についてメカニズムを明らかにすることを目的とした。 〔研究方法〕雄の成人ラット(300-500g)を用いて、ペントバルビタール麻酔下に気管切開し人工呼吸器を行った。頸動脈より動脈圧モニターを行い、中枢の影響を除外するために、環軸椎間より脊髄、脳組織を鈍的に破壊した。吸入キセノン濃度を10%、20%、40%、60%と変化させたときの血圧の変化を記録した。さらに、薬理学的に自律神経遮断を行い同様に影響を調べた。 〔結果〕キセノン吸入濃度を上げることで、血圧の軽度下降を認めた例をいくつか認められたが、その結果に一貫性はみとめられず、有意差は得られなかった。また、アトロピン(100μg/kg)投与により、キセノンの血圧降下作用が消失した例が認められた。このため、コリン作働性受容体への影響の可能性を考慮し、アセチルコリンによる一過性降圧作用のキセノン存在下での影響を調査した。アセチルコリンの降圧作用がキセノン投与下に著しく作用が増強延長された例がみられたが再現性が乏しかった。 〔考察と今後の課題〕動物実験においては、年齢、大きさ、状態、あるいは血管内容量、呼吸設定などさまざまな生理的因子が血圧に及ぼす影響が多大であるために、非常に結果にばらつきが大きく、一貫性のある有意な結果が得られなかったと思われる。一例ではあったが、アセチルコリンの降圧作用をキセノンが増強する結果が得られたことより、キセノン投与中のさまざまな臨床的な症状をよく説明できるメカニズムとして、アセチルコリン・エステラーゼの阻害作用が推測された。今後、標識酵素活性を測定することにより、直接アセチルコリン・エステラーゼの活性阻害度を測定することを目標としたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ishiguro Y: "Effect of xenon on autonomic cardiovascular control-comparison with isoflurane and nitrous oxide."J Clin Anesth. 12・3. 196-201 (2000)
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[Publications] Ishiguro Y: "Effect of xenon on endotracheal tube cuff."J Clin Anesth. 12・5. 371-373 (2000)