1999 Fiscal Year Annual Research Report
尿路上皮癌細胞と、血管内皮細胞および(正常)尿路上皮細胞との接着の機構
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11770885
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤井 靖久 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (70282754)
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Keywords | 尿路上皮(urithelium) / 尿路上皮癌(urothelial cancer) / 移行上皮癌(transitional cell carcinoma) / 糖鎖抗原(carbohydrate antigen) / E-セレクチン(E-selectin) / シアリルルイスa(sialyl-Lewis A) / シアリルルイスx(sialyl-Lewis X) / 接着(adhesion) |
Research Abstract |
1.E-selectinを発現させたヒト臍帯静脈内皮細胞と,ヒト尿路上皮癌細胞との接着実験 インターロイキン-1(IL-1)によりE-selectinを発現させた血管内皮細胞と,尿路上皮癌株(JTC-30,JTC-32,T24)との接着をIn vitroで調べた.JTC-30とJTC-32は,E-selectin依存性に血管内皮細胞と接着し,前者では抗Sialyl-lewis^x抗体と抗Sialyl-lewis^a抗体の組み合わせにより,接着はほぼ完全に阻害された.後者の接着は両抗体の併用にて,有意ではあるが軽度の接着の阻害がみとめられるのみであた.T24は,E-selectin依存性の血管内皮細胞との接着を示さなかった. 2.尿路上皮癌細胞株の糖鎖抗原Sialyl-lewis^x,Sialyl-lewis^aの発現 flow cytometryにより,JTC-30とJTC-32は細胞表面の糖鎖抗原Sialyl-lewis^x,Sialyl-lewis^aの両者を発現しており,T24は何れも発現していなかった. 3.臨床材料における糖鎖抗原Sialyl-lewis^x,Sialyl-lewis^aの発現 臨床材料として得られた,尿路上皮癌組織を免疫染色した結果,尿路上皮癌の約70%でSialyl-lewis^xかSialyl-lewis^aを発現しており,両者の発現(染色性)は正の相関を示した.また,この染色性と転移率は,統計的に有意な相関をみた.以上1.2.3.の実験により,尿路上皮癌細胞においては,糖鎖抗原Sialyl-lewis^x,Sialyl-lewis^aの両者が,血管内皮細胞との接着性,癌の悪性度,転移性と関係していることが示唆された.また,尿路上皮癌では,両者以外のE-selectin ligandの存在も疑われた.
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