2000 Fiscal Year Annual Research Report
神経栄養因子からみた脊髄傷害による排尿障害の成因とそのメカニズム
Project/Area Number |
11770887
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
佐藤 智哉 信州大学, 医学部, 助手 (30291272)
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Keywords | 脊髄損傷 / 排尿反射 / 神経成長因子(NGF) |
Research Abstract |
生後8週齢のWistar系成熟雌ラットを用いた。膀胱頚部を結紮して、膀胱内圧と外尿道括約筋部尿道内圧をモニターしながら等容量性膀胱収縮を起こしたところ、神経無傷ラットでは膀胱の収縮に伴って、尿道内圧は一過性に低下し高頻度の収縮を起こす、排尿筋と括約筋の協調活動が認められた。一方、ウレタン麻酔下に胸髄レベルを切断した脊髄損傷(脊損)ラットでは、脊損4週後に全例で膀胱の収縮に伴って外尿道括約筋が収縮する排尿筋外尿道括約筋協調不全を呈した。 膀胱平滑筋でのNGF産生量をELISA法によって定量したところ、脊損後に産生量が増加していた。神経栄養因子が脊損後の中枢神経内での神経回路の再構築に関与していることを明らかにするため、脊損後の脊髄排尿関連レベルでの神経栄養因子受容体分布の経時的変化を調べた。ラットの脊損後24時間、1,2,4週後および神経無傷群の第5腰髄から第2仙髄を抗trkA、trkB交代を用いて免疫染色を行った。trkAは、神経無傷群では灰白質より白質に多く分布しており、脊損24時間、1週後では分布に変化はなく、2週後にpyramidal tractに分布の増加を認めた。4週後でも神経無傷群に比べて同部位での分布の増加を認めたが、2週後よりは減少していた。trkBも、神経無傷群では白質に多く分布していた。脊損2週後にpyramidal tractに分布の増加を認めたが、trkAより、その変動は少なかった。 以上の結果より、神経栄養因子が中枢神経内で、排尿反射に関与する神経系の、脊損後の神経系統の再構築に関与していると考えられた。
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