1999 Fiscal Year Annual Research Report
実験的尿道下裂モデルラットの作製と陰茎および尿道発生機序の解明
Project/Area Number |
11770901
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
小島 祥敬 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (60305539)
|
Keywords | 尿道下裂 / 抗アンドロゲン剤 / 妊孕性 / 精子運動能 / 受精率 / 索組織 / ホルモン / 性分化 |
Research Abstract |
【目的】尿道下裂モデルラットを作成しその妊孕性について検討を行った。 【方法】妊娠後期SD雌ラットにFlutamideを腹腔内投与し、出生した雄ラットをそれぞれ尿道下裂(H群)、正常外性器(N群)の2群に分けた。尿道下裂また非投与母体から出生した雄ラットをコントロール(C群)とした。これら3群について、8週齢にて以下の検討を行った。1)発情雌ラットに対するマウント行動の回数2)同種雌ラットと2週間同居させた場合の性交渉した雌ラットの数3)精巣上体内精子運動能4)体外受精による受精率。5)さらに尿道下裂ラットの陰茎の索組織を採取し、組織学的検討を行った。また6)血中LH,FSH,テストステロン値も同様に測定した。【結果】1)H群、N群、C群の平均マウント回数は0回、57回、24回、平均イントロミッション回数は0回、47回、7回であった。2)各群雄が2週間に性行為を行ったメスの数は、H群0匹、N群0匹、C群8匹であった。3)H群、N群、C群の精子の平均の運動率はそれぞれ63%、57%、67%、平均の奇形率は10%、12%、7%であった。4)受精率はHS群52%、N群48%、C群48%であった。5)陰茎腹側は尿道形成が未熟で線維組織に置き換わっていた。6)血中LH,FSH,テストステロン値は3群間で有意差を認めなかった。【考察】尿道下裂ラットに見られたマウント行動および性行為の低下は、母体の内分泌の撹乱が、仔の内外性器の異常のみならず、脳の性分化に影響を与えた可能性が示唆された。また尿道下裂ラットにおいては精子運動能および受精率には影響を及ぼさないと思われた。さらに尿道の形成はアンドロゲン依存性であることが示唆された。また、胎仔のホルモン環境の攪乱は、必ずしも思春期以降のホルモン環境に影響を及ぼさないものと思われた。
|