前立腺癌におけるトロンボスポンジンとプロテアーゼを介する浸潤機構の解明とその治療

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11770907
• Research Institution: Keio University
• Principal Investigator: 菊地 栄次 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10286552)
• Keywords: 前立腺癌 / トロンボスポンジン / 転移・浸潤

Research Abstract

BIOCOAT MATRIGEL Invasion Chamberを用いて,thrombospondinによる前立腺癌細胞株浸潤能増強効果を確認した。上室に前立腺癌細胞株DU145,JCA-1,LNCAP,PC-3をそれぞれ2x10^5/wellになるように添加した。下室にはthrombospondinを5ug/ml含む血清不含培地と含まない培地を作成し,CO_2インキュベーター内で12時間培養した.DU145,JCA-1,LNCAP,PC-3はそれぞれthrombospondinを5ug/ml含む血清不含培地において0,2,5,0/HPE浸潤が確認され,対してthrombospondinを含まない血清不含培地での浸潤は全く確認されなかった.JCA-1,LNCAPではthrombospondinによる浸潤増強効果が確認された.
IL-6は進行卵巣癌,食道癌患者で血清中高値を示し,そのメカニズムとして転移,浸潤が関与していると考えられている.前立腺癌患者においても血清中有意に進行癌において高値を示した.BIOCOAT MATRIGEL Invasion Chamberを用いて,IL-6による前立腺癌細胞株浸潤能増強効果を確認した.上室に前立腺癌細胞株JCA-1,LNCAP,PC-3をそれぞれ2x10^5/wellになるように添加した.下室にはIL-6を100ug/ml含む血清不含培地と含まない培地を作成し,CO_2インキュベーター内で12時間培養した.IL-6を含まない培地での浸潤細胞は確認されなかったが,IL-6を含んだ培地での浸潤能はそれぞれ4.2,16.5,0/HPFであった.JCA-1,特にLNCAPにおいてIL-6は浸潤増強効果を有すると思われる.