2000 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌におけるカルシトニンレセプターの役割と解析
Project/Area Number |
11770913
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
瀬川 直樹 大阪医科大学, 医学部, 助手 (00309147)
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Keywords | 前立腺癌 / calcitonin / MAPキナーゼ |
Research Abstract |
【目的】calcitonin(CT)はペプチドホルモンとしてcalcitonin receptor(CTR)を介して作用する。前立腺癌においてCTのparacrine/autocrine調節による前立腺癌の細胞増殖への関与が推測されている。一方,Mitogen activated protein kinase(MAPK)は真核生物に普遍的に存在するセリン/スレオニンキナーゼであり,細胞増殖,分化に関して中心的な役割を担うことが明らかにされている。今回我々はCTRの発現の知られているヒト前立腺癌細胞株DU-145を用い,CTの作用とMAPKの関係について解析した。【材料と方法】MAPK活性をWestern blotting法によりを検出し,Northern blotting法により核内転写因子c-fos,c-jun mRNAの検出を行った。また細胞数計測を行い、CT添加による細胞増殖に対する効果を検討した。【結果】DU-145においてMAPKの自律活性がみられ,この活性はRas-MEK-MAPK経路を介していた。PKA阻害剤単独投与でMAPK活性の増強がみられ,またCT添加により一時的に活性が抑制された。CT添加によりc-fosの発現を一過性に惹起し,c-junの発現を抑制した。CT添加により若干の細胞増殖抑制効果がみられたが、統計学的有意差は認められなかった。【結語】PKA系はDU-145においてMAPK活性に抑制的に作用しており,CTによるMAPK活性抑制はPKA系を介することが推察された。またCTがCTRを介してMAPKのシグナル伝達に作用し,最終的に何らかの核内遺伝子を調節している可能性が示唆された。このDU145を用いた実験モデルはホルモン抵抗性前立腺癌に対する神経内分泌ペプチドの効果を検討する上で有用であると考えられる。
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