1999 Fiscal Year Annual Research Report
尿路結石発生メカニズムの解明と再発予防に関する基礎的研究
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11770916
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
飯田 如 久留米大学, 医学部, 講師 (70232121)
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Keywords | calcium oxalate stone / heparan sulfate / heparan sulfate proteoglycan / bikunin / MDCK cells |
Research Abstract |
われわれは、蓚酸カルシウム結晶の成長・凝集阻止物質であるheparan sulfate proteoglycan(HSPG)とbikuninに注目し、これらの物質が腎臓組織内で特異的に産生されていることを見出してきた。今年度は、HSPGに関して、ラット腎結石形成モデルを用いた実験系で、HSPGの組織内での発現を調べた。すなわち、HSPGの遺伝子レベルでの発現については、quantitative competitive(QC)-RT-PCRにて確認し、蛋白レベルでの発現に関し特にその発現量と局在を調べるため、モノクローナル抗体を用いた免疫染色を行なった。その結果、結石形成腎においてはHSPGの発現が、有意に亢進している結果であった。しかも組織学的に結晶形成がみられたり、拡張した尿細管上皮にHSの強い染色性が示された。HSPGの発現が、結石形成腎において有意に亢進していることは、これらが結石形成を阻止しようとする一種の生体防御反応と関連していると考えられた。今後はin situ hybridizationによる遺伝子レベルでの局在の検討が必要と考えられる。一方bikuninに関しては、腎尿細管上皮の培養細胞(MDCK cells)を用いて、bikuninの発現を調べた。その結果、KOx添加群でのみ遺伝子および蛋白レベルでのbikuninの産生が亢進していた。当初は、COM crystal添加群でも同様にbikuninの発現が亢進すると考えられたが、実際には有意差は認められなかった。この理由を調べるために、実際の細胞表面の変化を走査電子顕微鏡で観察した。その結果、KOx添加群でのみ細胞表面のmicrovilliが消失し、細胞傷害を示唆する変化が認められたが、他の群では明らかな変化を認めなかった。これらの結果より、bikuninの発現は尿細管上皮細胞に対する、蓚酸イオンの障害と関連があることが示唆された。これらの結果は、HSPGとbikuninの発現様式が、微妙に異なっていることをうかがわせた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shizuka Iida et al.: "Molecular detection of heparan sulfate proteoglycan mRNA in rat kidney during calcium oxalate nephrolithiasis."J Am Soc Nephrol. 10. 412-416 (1999)
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[Publications] 飯田 如: "腎尿細管上皮細胞におけるbikuninの発現について"日本尿路結石研究会 第9回学術集会記録集. (in press).