1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770917
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岸田 達朗 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (60260395)
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Keywords | 前期破水 / 卵膜 / 頚管分泌物 / サイトカン / Interleu kin / natrix metalloproteinase / Fetal Fibronection / 頚管長 |
Research Abstract |
早産期前期破水発症の予知に有用な因子について前方視的に検討する。[方法]1998年10月から1999年6月までに、同意の得られた妊娠20週から34週未満の未破水の単体妊婦69奨励を対象とし、PPROMに至ったA群6例と正期産のB群63例について、背景因子、臨床所見の60項ならびに頚乾分泌物検体(41.5倍希釈)中のinterleukin(IL)-1α,IL-1β,IL-6,IL-8,顆粒球エラスターゼ、癌胎児性フィプロネクチン、matrix metalloproteinase(MMP)-1,MMP-2,MMP-9の9項目をEIA法により濃度測定し、比較検討した。統計学的解析には、Fisherの直説法、t-検定、Mann-WhitneyのU検定、stepwise回帰解析、多重ロジスティック回帰解析を用い、危険率0.05未満を有意とした。receiver operator characteristic解析により、PPROM発症予知における頚管分泌中の各物質濃度のcut-off値設定を試みた。[成績]背景因子ならびに検体採取平均週数(A;28.1,B;25.4)には両群間に差はなく、検体採取からPPROM発症(平均31.7週)までの期間は平均3.6週であった。単変量解析により有意差が認められた6項目におけるstepwise回帰解析の結果、PPROM発症のリスク因子として、ビショップスコアの高値(A;2.0 vs B;0)、経膣超音波断層法による頚管長(mm)の短縮(A;23.5 vs B;42.0)ならびに5mm以上の内子宮口開大の有無(A;50% vs B;11.1%)、IL-6(pg/ml)の高値(A;388.7 vs B;102.8)が選択された。多重ロジックシステム回帰解析からは、IL-6(P=0.033)のみが選択され、0dds比は3.2(IL-6 100 pg/ml)であった。IL-6のcut-off値を240pg/mlに設定すると、PPROM発症予知における感度は83.3%、特異度は81.0%であった。[結論]頚管分泌物中のIL-6の高値(≧240 pg/ml)が、PPROM発症の独立した予知因子である可能性がはじめて示唆された。
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