1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11770932
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
市川 直子 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (30293484)
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Keywords | 婦人科腫瘍 / 子宮頚癌 / 子宮上皮内癌 / ゲノム不安定性 / 腫瘍抑制遺伝子 / Microsatellite Instability / LOH / 病理学的診断 |
Research Abstract |
本年度は、子宮頸部扁平上皮病変において8種類の腫瘍抑制遺伝子(TP53,p16、RB1,NM23,DPC4,PTCH,DCC,WT1)のMSIが存在するか否かを解析した。患者の同意を得た手術摘出材料、正常子宮頸部10例(増殖期20例、分泌期10例)前癌病変としてcervical intraepithelial neoplasia(CIN)30例を用い子宮頸部浸潤癌36例の症例を用いた。手術摘出材料をホルマリン固定パラフィン包埋切片よりdigestion bufferで可溶化し、マイクロウェーブ処理法で、それぞれDNAを抽出した。既に当教室で確立している8種類の異なる染色体の腫瘍抑制遺伝子であるTP53,RB1,WT1,DCC,DPC4,PTCH,NM23,P16の蛍光プライマーを用いて、PCR法で増幅、日立自動DNAシーケンサーを用いて8種類の腫瘍抑制遺伝子のMSIの有無を検討した。その結果、36例の子宮頚癌及び子宮上皮内癌において、8種類の腫瘍抑制遺伝子マーカーに少なくとも一つ以上MSIをみとめた症例は11例だった。そのうち、子宮頚癌は7例、子宮上皮内癌は4例だった。特にDPC-4とNM23においてMSIが高頻度存在した。子宮頚癌にMSIが30.6%検出されたことより、これらの腫瘍抑制遺伝子のMSIが子宮頚癌において発癌に関与する可能性が推測された。今後更に、BaxおよびTGF-βRII遺伝子に変異を解析する予定であるが、子宮頸部扁平上皮病変において腫瘍抑制遺伝子が遺伝子的不安定性に基づく発癌の標的遺伝子の可能性が示唆された。
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